2017 年 18 巻 2 号 p. 75-78
入職から半年経過した頃に研修医による患者誤認や採血時の針刺し等の報告が増加したことを契機に、研修医補完研修を実施している。研修内容は、研修医から報告の多いインシデントレポート、針刺し切創・体液曝露事例、輸血時の注意点等の説明、その後の採血・点滴・輸血の3点に関する技術演習である。研修医2〜3人に対し医療安全委員、感染防止委員から1人を指導者として割り当て、それぞれが患者役医師役を交替し演習した。質問紙調査を実施し、研修前後のインシデント、針刺し切創・体液曝露報告件数を比較した。質問紙では、研修時期、内容等いずれも好評であり今後の継続が望まれた。研修後のインシデントレポート件数が減少していること等から一定の効果があったと考える。
点滴・輸血等の技術演習を主体とした研修医対象の補完研修は、研修医が自身の技術を確認する機会となりインシデントレポート件数や針刺し切創・体液曝露報告件数の減少に繋がることが示唆された。