栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
原子吸光分光分析法による食品中の金属の定量に関する研究 (II)
カルシウムの定量について
森 大蔵後藤 郁子長田 博光
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 21 巻 1 号 p. 18-23

詳細
抄録

食品中のカルシウムを迅速にしかも正確に定量する目的で原子吸光分光分析法を検討した結果十分応用できることを認めた。
(1) 原子吸光分光分析法によるカルシウムの定量について基礎的な検討を行ないその測定条件を定めた。
(2) 共存元素の影響について調べた結果, 錫, リン, クローム, アルミニウムがかなり吸光度を減少させたがマグネシウム溶液 (マグネシウム6000ppm, ナトリウム200ppm, カリウム1500ppm含まれた液) を添加することによりこれらの影響を除去できたがアルミニウムが50ppm以上存在すると影響が残った。
(3) 添加回収試験を行なったがほぼ満足な結果を得た。
(4) 原子吸光分光分析法とEDTA滴定法との定量値の比較試験を行なったがほぼ同値を得た。
(5) 本法による定量値の再現精度は同一試料液について6回測定した結果リンゴが2.6%, ナシが1.6%であったので十分満足できると考えられる。
(6) 農産食品中のカルシウム含量は生の野菜類が20~30mg%, 果実類が3~10mg%, 缶詰ではパインナップルが35mg%, 他は3~15mg%であった。水産食品では二枚貝が25~70mg%と多く, 魚類は10~20mg%であった。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top