栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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ビタミンB1欠乏時におけるラット肝細胞のRNAならびにタンパク質合成について
中川 眸大浦 彦吉塚田 欣司
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1969 年 22 巻 6 号 p. 387-393

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抄録
1. V. B1欠乏飼料を投与したラットは, はじめ2週間までは体重はやや増加したがその後欠乏日数の経過と共に減少し, 31日では初体重よりも減少した。 しかしV. B1投与によって回復した。
2. V. B1欠乏ラットの湿肝重量は欠乏18日までは, わずかに増加するがその後増加は認められなかった。
3. 肝細胞におけるV. B1はその大半が細胞質に存在し欠乏日数の経過と共に急速に減少した。
4. ポストミトコンドリヤ上清画分のポリソームパターンは, 欠乏18日よりheavy polysomesの減少, lightpolysomesの増加を示し, この傾向は欠乏25日および31日では更に顕著にあらわれ, V. B1投与後は急速に回復した。
5. 精製ポリソームパターンにおいては欠乏7日のポリソームは, 対照に対してheavy polysomesの増加の傾向がみられ, 3H-オロチン酸の取り込みもtrimer以上のポリマー部分において増加した。 欠乏25日および31日ではheavy polysomesが減少しlight polysomesの増加が顕著にあらわれ, 3H-オロチン酸の取り込みも極度に減少した。 なおhexamer以上のポリソームの全リボソームに対する割合は, 欠乏7日で一過性の増加を示しその後減少した。
6. in vivoにおける3H-オロチン酸のポリソームRNAへの取り込みの比活性, およびin vitroにおける14C-ロイシンの取り込みの比活性は, いずれも欠乏7日に一過性の増加を示し, その後欠乏日数の経過と共に減少した。 またin vivoにおける核RNAへの3H-オロチン酸の取り込みの比活性は欠乏7日で対照よりやや増加しているが大差は示さず, 欠乏18日より減少した。 そしていずれもV. B1投与後は急速に回復した。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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