栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
22 巻 , 6 号
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  • 村田 希久
    1969 年 22 巻 6 号 p. 353-360
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    完全アミノ酸混合10%食より必須アミノ酸1個ずつ除いた各必須アミノ酸欠食を白ネズミに強制投与5日目の肝臓TPase活性の完全アミノ酸食群のそれに対する割合と, 尿中MNAの完全食群のそれに対する割合の関係はFig. 4にしめしたようによい相関性をしめし, トリプトファン以外の必須アミノ酸欠食投与時, 体たんぱく質の合成に利用されなかった余剰トリプトファンを分解すべくTPase活性の誘導がおこり, 分解されたトリプトファンはNADを経て尿中にMNAとして排泄されることが認められた。
    また必須アミノ酸欠食時のTPase活性と尿中窒素の完全食群のそれらに対する割合の相関もFig. 11にみられるように, トリプトファン欠食の場合を除いてはよく相関し, 肝臓TKase活性と尿中窒素についてもFig. 12にしめすようで, TKase活性は (種々の要因に支配されるためか, 相関係数は幾分小さいが) 相関することが観察された。
    つぎに各必須アミノ酸欠食群の, 完全食群のそれに対する割合 (Fig. 13), 同じくTKase活性の割合 (Fig. 14) からも明らかなように, トリプトファン以外の各必須アミノ酸欠食投与時のTPase活性の上昇が副腎摘出白ネズミにおいてもおこることは利用されなかったトリプトファンが基質誘導の原因となっていることがわかると共に, 欠となるアミノ酸の種類によってTPase誘導の程度が異なることが認められた。また, 肝脂肪増量 (Fig. 15) の程度も欠アミノ酸の種類によって異なるのはアミノ酸の特異性による結果と推定される。
    また必須アミノ酸欠食を自由食とするとき摂取量が減退するのは肝臓酵素活性の増大などが食欲中枢への指令の役を果たすものとも想定され, これらの点については将来更に検討すべき興味ある問題である。
  • 今村 経明, 内藤 博, 青木 孝良
    1969 年 22 巻 6 号 p. 361-366
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    日本人の人乳と育粉のミネラルについて実験し, 育粉改善の問題点を探った。測定したミネラルは, K, Na, Ca, Mg, P, Cl, Fe, Cu, Mo, およびZnの10元素であって, それらの標準含量 (泌乳開始後2~4カ月の乳の平均) はそれぞれ, 人乳100g中50mg, 15mg, 26mg, 4mg, 14mg, 38mg, 76μg, 27μg, 0.2μg, 201μgであった。
    育粉は, 1953年以降に開発されたものをすべて対象とし, ミネラルからみたhumanizationの歴史をたどった。また, 人乳と比較することによって, Znに関心をもち, 今後の興味ある研究課題であることを指摘した。
    本報の特色は, 特定の元素を対象とせず, 全ミネラルのバランスに焦点を置いて考察したことにある。
  • 吉倉 和子, 浜口 陽一
    1969 年 22 巻 6 号 p. 367-370
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 黒大豆の種皮の色素はペーパークロマト法により2種類存在することを認めた。
    2. 黒大豆の種皮を1%塩酸-メタノールで抽出後, 塩基性酢酸鉛で処理し, カラムクロマト法とマスペーパークロマト法で2種の色素を単離した。
    3. 得られた各々の結晶について加水分解を行なった結果, 結合糖はいずれもグルコースであり, 色素Aのアグリコンはシアニジンで色素Bのアグリコンはデルフィニジンであった。
    4. 糖の結合位置, 元素分析, 吸収スペクトル, 部分加水分解等により, 色素Aはシアニジン-3-モノグルコサイドであり, 色素Bはデルフィニジン-3-モノグルコサイドであった。
  • 松下 アヤコ
    1969 年 22 巻 6 号 p. 371-374
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    こむぎおよびはだかむぎの種子 (胚乳) 成熟過程中の遊離糖含有量の変化状況をPPCの切りとり, 分割, 溶出, micro-Bertrand法およびglucose-oxidase法を応用して, 定量を行なった。sucroseとglucoseの2種は種子未熟時から成熟時にいたる期間を通して見出しうるが, raffinoseおよびstachyoseのスポットは, 種子の未熟時には見出しえないか, またはこんせき程度で, 種子成熟の後期に出現する。glucoseおよびsucroseは種子の未熟時に最大含量を示し, 成熟時に最少含量を示す。試料の種子形成初期の未熟時にはsucroseとglucoseが主要な糖であり, 成熟最後期の種子 (胚乳) 中ではsucroseとraffinoseが主要な糖である。
  • 1969 年 22 巻 6 号 p. 374
    発行日: 1969年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 守 康則, 加藤 憲子, 藤木 紫華美
    1969 年 22 巻 6 号 p. 375-380
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    トリプシン活性におよぼすクロロフィル, クロロフィル分解物および金属誘導体の影響をしらべ次の結果を得た。
    1. クロロフィルはトリプシン活性に対し阻害性をもつ。
    2. クロロフィルのアルカリ分解物クロロフィリンはトリプシン活性を阻害する。
    3. クロロフィルの酸分解物フェオフィチンは酵素活性に対して影響を与えない。
    4. クロロフィルによる酵素活性の阻害はカルシウムにより保護される。
    5. クロロフィルの金属誘導体である銅クロロフィリン, 鉄クロロフィリンはともにトリプシン活性を阻害する。
    6. トリプシン活性は前処理反応時間の増大に伴ってその阻害度も増大する。
    7. クロロフィル, 銅クロロフィルによる前処理酵素液と無処理酵素液 (対照) との間には 紙電気泳動においてその易動度に相異は認められない。
    8. クロロフィル (5mg%) 処理酵素液においては螢光スペクトルの変化は認められないが, 銅クロロフィリン, 鉄クロロフィリン (10, 100mg) 処理酵素液については螢光スペクトルの変化 (消光現象) が認められる。
  • 守 康則, 藤井 美智子, 大戸 喜美子
    1969 年 22 巻 6 号 p. 381-386
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    クロロフィルaに対するL-アスコルビン酸の影響をアスコルビン酸酸化過程に生起されるフリーラジカル生成系を主体に検討し, 次の結果を得た。
    1. L-アスコルビン酸はクロロフィルを分解する。
    2. L-アスコルビン酸はH2O2共存下にクロロフィルを著しく分解する。
    3. 遷移金属Fe2+およびFe3+はいずれもアスコルビン酸によるクロロフィルの酸化分解を促進する。
    4. フェントン系 (Fe2+-H2O2), Fe2+-EDTA系はアスコルビン酸によるクロロフィルの分解を著しく促進する。
    5. チオ尿素はアスコルビン酸によるクロロフィルの分解を抑制する。
  • 中川 眸, 大浦 彦吉, 塚田 欣司
    1969 年 22 巻 6 号 p. 387-393
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. V. B1欠乏飼料を投与したラットは, はじめ2週間までは体重はやや増加したがその後欠乏日数の経過と共に減少し, 31日では初体重よりも減少した。 しかしV. B1投与によって回復した。
    2. V. B1欠乏ラットの湿肝重量は欠乏18日までは, わずかに増加するがその後増加は認められなかった。
    3. 肝細胞におけるV. B1はその大半が細胞質に存在し欠乏日数の経過と共に急速に減少した。
    4. ポストミトコンドリヤ上清画分のポリソームパターンは, 欠乏18日よりheavy polysomesの減少, lightpolysomesの増加を示し, この傾向は欠乏25日および31日では更に顕著にあらわれ, V. B1投与後は急速に回復した。
    5. 精製ポリソームパターンにおいては欠乏7日のポリソームは, 対照に対してheavy polysomesの増加の傾向がみられ, 3H-オロチン酸の取り込みもtrimer以上のポリマー部分において増加した。 欠乏25日および31日ではheavy polysomesが減少しlight polysomesの増加が顕著にあらわれ, 3H-オロチン酸の取り込みも極度に減少した。 なおhexamer以上のポリソームの全リボソームに対する割合は, 欠乏7日で一過性の増加を示しその後減少した。
    6. in vivoにおける3H-オロチン酸のポリソームRNAへの取り込みの比活性, およびin vitroにおける14C-ロイシンの取り込みの比活性は, いずれも欠乏7日に一過性の増加を示し, その後欠乏日数の経過と共に減少した。 またin vivoにおける核RNAへの3H-オロチン酸の取り込みの比活性は欠乏7日で対照よりやや増加しているが大差は示さず, 欠乏18日より減少した。 そしていずれもV. B1投与後は急速に回復した。
  • 吉村 学
    1969 年 22 巻 6 号 p. 394-401
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    日本人基礎代謝の季節変動に影響を及ぼす要因の分析に於て, 京都在住カナダ人が四季にわたって恒常な基礎代謝を示し, かつ彼らの脂質食摂取が多く, 並びに甲状腺機能が高いことより, 彼らの基礎代謝の季節変動のない理由はこの高脂質食の甲状腺機能に及ぼす影響によると推論した。 よってこのような食質の代謝に及ぼす影響を検討する為にラットを用いて高脂質食, 高糖質食, 高蛋白質食等の種々の飼料を与えて, 高温, 低温または常温にて飼育してその甲状腺機能および安静時代謝量等を測定比較して次のような成績を得た。
    1) 高脂質食, 高糖質食並びに高蛋白質を与えて高温 (32±2℃) または低温 (5±2.5℃) に約6週間馴化せしめて, 食質の甲状腺機能に及ぼす影響を見ると, 高脂質食ラットは高温, 低温馴化時の何れに於ても他の食質群に比べて高い甲状腺のヨード摂取能並びに高い甲状腺相対重量を示している。 特に低温に馴化したラットにおいては高脂肪食群の甲状腺機能亢進は顕著となる傾向があった。 一方高温に馴化した高糖質群の甲状腺重量は顕著に低下し, かつ全般的に低温馴化群よりもその甲状腺機能の低下の傾向を示している。
    2) 高温馴化したラットの安静時酸素消費量を常温対照群と比較した場合, 高温馴化群は対照馴化群に比べて低下するが, その低下率は高糖質食群に於て著明であるのに対し, 脂質食群においては著明でない。 また常温飼育ラットに於て高脂質食群の安静時酸素消費量は高糖質食群に比べて高い値を呈している。
    3) propyl-thiouracilを投与して甲状腺腫を作った場合でも, 高脂質ラットは高糖質ラットに比べて高いヨード摂取能並びに高いPB131I転換率を示すが, 下垂体を摘出するとこのような食質による甲状腺機能の差は消失する。
    4) これらの結果により, 高温に馴化した場合の安静時酸素消費量の低下は甲状腺機能の低下に関係し, 高糖質食に於てこの低下が著明であるのに対し, 高脂質食では一般に甲状腺機能が亢進し, 高温馴化時の酸素消費量もその低下が抑えられる。 基礎代謝の季節変動に対する日本人と欧米人との差の大きな要因は, 前者が高糖質食をとり, 後者が高脂質食をとるところにあるのであろう。
    5) 高脂質食の甲状腺への影響は腺の増殖並びにヨード摂取能を亢進させるように働いている。 よってこれと先の (3) の結果を考え合わせると甲状腺機能に及ぼす食質の影響は恐らく下垂体のTSHを介して現われるものと推測せられる。
    6) 以上の結果と従来の我々の教室で行なった一連の研究成績を総合し, 高脂質食は低温馴化を促進し, 高糖質食は高温馴化を促進すると結論した。
  • 堀川 蘭子
    1969 年 22 巻 6 号 p. 402-413
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    経口的に投与せられたアミノ酸が, 腸管壁より吸収せられ, その後どのような過程で各組織へ組み込まれ利用されるものであるかを明らかにするために, イヌの腸管吸収実験やシロネズミによる14C-アミノ酸をトレーサーとした体内利用実験, あるいは各種アミノ酸混合物による人体実験を行ない, 次のような成績や見解を見出した。
    1) 腸腔内から消失したアミノ酸は, 30分の間にその66%が腸壁内に留められ, 残り34%前後が血中に吸収せられる。更に血中に吸収せられたアミノ酸の1/2~2/3のものが肝臓に保留せられてタンパク合成その他に消費せられ, 残りのものが全身血中に残って各組織タンパク合成に利用せられる。従って腸管より吸収せられたアミノ酸のうちの1/9~1/20が全血中に入って, 全身組織に利用せられる事となる。
    2) 放射性同位元素を用いてラベルしたアミノ酸の腸管吸収後の動きを追跡した結果, 体内各臓器に取り込まれたアミノ酸の利用は次のようにして行なわれるものと解釈せられる。即ち腸管より吸収されたアミノ酸は, 肝臓, 消化管壁に一時取り込まれるが, これは一種のfunctional reserveの意義を持ち, 血液はこれら臓器より代謝予備タンパクとして各組織へ輸送する機能を有するものである。
    3) アミノ酸混合物の栄養効率について検討した結果によれば, 必須アミノ酸と非必須アミノ酸の比率は, 1: 1のものが人体実験による短期の実験においても, またシロネズミによる長期の実験においても, 最も利用効率が高い事が認められた。これはWHOのいうE/T比4.0
    あたりのものに匹敵する。またこれにより非必須アミノ酸にも, アミノ酸栄養効果の上に果たす積極的な意義が認められた。
  • 長沢 太郎, 清沢 功, 饒村 護
    1969 年 22 巻 6 号 p. 414-419
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    MucinのAsA酸化抑制作用をCh-Sと比較して検討した。その際得られた結果は次の通りである。
    1) 0.1Mリン酸塩緩衝液 (pH7.4) 100ml当りAsA 12mgを溶解し, 37℃においてCh-Sは0.05%以上, Mucinは0.01%以上を添加した場合強いAsA酸化抑制作用がみられ, Mucinの効果の方が大であった。
    2) pH 6.4においても両者ともほぼ同程度のAsA酸化抑制作用がみられた。
    3) pH 8.6では両者ともAsA酸化抑制作用は認められず, 逆に高濃度では酸化が促進され, 特にMucinにおいて顕著であった。
    4) pH 7.4において反応系に酸化触媒物質である鉄イオンあるいは銅イオンを添加した場合, AsAの酸化分解は抑制された。この際もMucinの効果が明らかにすぐれていた。
    5) Ch-Sに鉄イオン, または銅イオンを飽和するとAsA酸化抑制効果は梢失した。
    6) 60℃においてpH 6.4では弱い酸化抑制作用が認められたがpH 7.4では無効であった。
    7) 80℃ではpH 6.4でMucinおよびCh-Sの高濃度 (0.1~1.0%) において加熱2時間まで弱い効果がみられた。pH 7.4においても同様でありCh-Sの効果の方が大であった。
    8) MucinおよびCh-Sの構成因子の中でd-グルクロン酸および硫酸に弱いAsA酸化抑制作用が認められた。
  • 長沢 太郎, 清沢 功, 鈴木 隆, 後藤 苑生
    1969 年 22 巻 6 号 p. 420-426
    発行日: 1969/08/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    生後, 約20日を経過したS. D. 系幼若ラットを1群7匹とし, イノシット無投与群 (G-1), 0.5mg/日 (G-2), 1.0mg/日 (G-3) および2.0mg/日 (G-4) 投与群の4群に分けて, 体重増加ならびに臓器の重量, イノシット含量および酵素活性を測定した。 その結果は次の通りであった。
    (1) 54日間飼育後の各群の1日当りの平均体重増加量および飼料効率は次の通りであった。 G-1: 0.43g, 0.383. G-2: 0.88g, 0.638. G-3: 1.33g, 0.989. G-4: 1.15g0.769.
    (2) 各ラット群間の肝臓, 腎臓, 心臓, 眼球重量には顕著な差は認められなかったが, G-1とG-4は他の2群に比較して睾丸重量が低かった。
    (3) 各ラット群間の血清1ml中の蛋白質量および非蛋白態窒素量は次の通りであった。G-1: 62.05mg, 0.66mg. G-2: 65.58mg, 0.53mg. G-3: 69.94mg, 0.56mg. G-4: 70.55mg, 0.51mg.
    (4) 各ラット群間の血清100mg中の全脂質, コレステロール, リン脂質量は次の通りであった。 G-1: 700.0mg, 49.6mg, 120.5mg. G-2: 649.0mg, 43.4mg, 125.0mg. G-3: 589.2mg, 35.1mg, 136.5mg. G-4: 588.0mg, 39.4mg, 141.0mg.
    (5) イノシット生合成に関与するグルコース-6-リン酸シクラーゼとイノシット-1-リン酸ボスファターゼ活性は, 肝臓, 腎臓, 睾丸において各ラット群の間に有意差は認められなかったが, その平均値は無投与群より投与群においてその活性が高い傾向が観察された。
    (6) 心臓, 肝臓のイノシット含量は各ラット群の間に殆んど差がなかった。 しかし無投与群の眼球のイノシット含量は他の投与群に比較して低かった。
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