栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
大量炊飯の調理学的研究 (第1報)
加水量の決定と温度管理について
岡田 玲子
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1970 年 23 巻 5 号 p. 330-335

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抄録

集団給食における炊飯方法を標準化する目的で, 竪型ガス炊飯器を用いて, 5~10kgの各炊飯量における炊飯条件を検討した, 主な結果は次の通りである。
(1) 加水率は重量比で136%が適切であった。これは米の水分量, 米飯の水分量および炊飯中の蒸発量より算定した理論値の136.6%にほぼ近似する数値であった。
(2) 炊飯器内の温度分布は各部位による差が著しく, 点火後16~18分で300~450℃に達し, 消火後は急速に降温するものの, 蒸らし終了時は130~170℃を保持している。したがって密閉して蒸らす限り保温性が高いので常法の中火および弱火加熱を省略することができる。
(3) 温度管理は強火加熱のみでよく, 炊飯量によって加熱時間を加減する。すなわち, 5kgでは18分, 6kgでは19分, 8kgでは23分であり, いずれも食缶内米飯の中層 (大体において上, 下, 中層の順に昇温する) が沸点到達後, さらに2分加熱を継続した時間である。なお, 蒸らし時間は15分が適切であった。
(4) 温度管理を可及的に望ましい状態に維持しても, 食味良好な中層の米飯に比して, 上層は水分量少なく, 粒形は小さくひきしまっており, 下層は水分量多く軟かすぎ, 粒形の伸長が認められる。この傾向は炊飯量に比例して顕著になるので, この場合は, 食缶容量の80%以下が比較的可能な炊飯量といえよう。
(5) 食缶内米飯水分の均一化を図るため, 蒸らし時間の途中で食缶の反転操作を施すとか, また, 木製の飯櫃に米飯を移すなどの改良策は効果的であった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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