抄録
(1) マルチトール-U-14Cの腸管吸収を白ネズミの小腸のevertedsacを用いて観察してみると, 透過の度合いは空腸, 回腸, 十二指腸の順であったが, 最も透過の高い空腸においてもそれは10%以下であった。 またマルチトールに適応させた場合には透過は低下する傾向にあった。
(2) マルチトール-U-14Cを経口投与すると, その大部分は腸管内にみいだされるが, およそ8%程度は吸収される。 しかし, 24時間以内に, 吸収されたマルチトールの大部分 (約5%) は尿中に排泄され, 一部は14CO2としても排出される (1.2%) 。
(3) マルチトール-U-14Cを尾静脈より循環血流中に投与すると, 投与後3時間で60%以上, 24時間で85%以上が尿中に排泄された。
(4) 白ネズミをマルチトールに適応させると, マルチトールの消化管内の下部への移行が高まり, さらに吸収されたマルチトールの腎からの尿中排泄が早まる傾向が観察された。
以上の結果から, マルチトールは白ネズミにおいてはわずかに吸収されるが, 吸収されたマルチトールは比較的速やかに排泄されるものと思われる。