栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
24 巻, 7 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 吉村 寿人
    1971 年 24 巻 7 号 p. 365
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 阿部 達夫
    1971 年 24 巻 7 号 p. 366-373
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    以上私は臨床家の立場から, 食欲不振の実態とその対策の2, 3についてのべた。
    (1) 食欲不振は多くの病気に伴う症状で, 入院および外来患者にかなり多くみられる。食欲不振をおこす疾患で最も多いのは胃疾患である。
    (2) 入院患者で病院給食に多くの減食がでるが, その原因として最も多いのは食欲不振である。ただし治療食のうち糖尿病食は減食が著しく少ない。
    (3) 食欲不振は精神的影響をうけやすく, 不定愁訴症候群や仮面うつ病のなかにも食欲不振を訴えるものが多い。 これらは適切な精神科的な治療によりよく改善される。
    (4) 食欲不振の対策のひとつとして香辛料の利用がある。 香辛料の適量は食欲を亢進させ, また腎, 肝疾患などにも食欲亢進剤として有益無害に利用しうる。
    (5) 脱Na粉乳, 植物油, 可溶性でん粉を主成分としたPetersらの処方に準じた混合栄養剤ML722を調製して, これをあたかも薬剤のごとくにみたてて投与するという方法を試みた。 この方法により肝硬変症その他の患者に与えて熱量の増加, N出納の改善がみられた。
    (6) アミノ酸混合液をできるだけ人乳のアミノ酸パターンに近くして, 輸液として与えた。 このアミノ酸混合液投与が十分に利用されることを臨床的に種々の面から検討した。
    (7) さらにシロネズミを用いて, このアミノ酸混合液がアルブミン合成に十分利用されることを, C14重曹を用いて証明した。
    (8) 食欲不振時にビタミン剤補給の合理性について論じた。
  • 野田 克彦
    1971 年 24 巻 7 号 p. 374-377
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    低カゼイン飼料にメチオニンを補足した際に起きる脂肪肝の生成原因を追求するため, 肝臓の脂肪合成速度を肝切片を用いて測定した。
    酢酸ナトリウム-1-14Cの脂質への取り込みの速度は, メチオニン補足飼料群の肝切片の方が基礎飼料群に比して約2倍高かった。
  • リボフラビンとパラアミノサリチル酸との反応 (第1報)
    大村 浩久, 池田 忠輝, 飯尾 雅嘉, 西沢 天善, 堤将 和
    1971 年 24 巻 7 号 p. 378-381
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    適当な割合でPASとFMNとを反応させると反応液の可視部における吸光度は増加し, その程度は少なくも試験した330mμないし400mμの範囲では短波長側ほど大きかった。これはFMNのほかRFにおいても同様にPASと反応するものと観察されたがFADとPASでは類似の変化は認められなかった。
    この吸光度の増加はアルカリ側あるいは高温において大きく, また反応時間に比例した。鉄, 銅, マグネシウムなどの金属イオンが共存した場合, 可視部においてはほとんど影響はないが紫外部の吸光度は低下した。しかも吸光度の変動曲線はほぼ同じ形を示した。
  • 大村 浩久, 鳥巣 隆雄, 篠原 和毅, 飯尾 雅嘉
    1971 年 24 巻 7 号 p. 382-387
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    8-ヒドロキシキノリンによりヒドロキシウレアは発色し425mμに極大を示す吸収スペクトルが観察された。 この呈色反応に及ぼす諸条件を検討しヒドロキシウレアの比色定量法を確立した。 すなわち試料1mlに0.2Mトリス緩衝液 (pH7.5) 1ml, 1%8-ヒドロキシキノリン1ml, 1M炭酸ナトリウム1mlを加え水で全量5mlとし. 40℃3時間反応させたのち425mμにおける吸光度を測定する。 これによって吸光度は5×10-5Mないし10-3Mの範囲にわたって濃度と直線関係が認められた。
    さらに尿素およびその誘導体は本法によって呈色せずこれらとヒドロキシウレアとの分別定量が可能であることが示された。 しかしヒドロキシルアミンをはじめフェニルヒドラジン, セミカルバチド, その他の物質による妨害は免れなかった。
  • 関 博麿
    1971 年 24 巻 7 号 p. 388-391
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    授乳が終わった体重240g前後の初産の白ネズミに授乳時とおなじ飼料を投与し, 離乳後のCa, PおよびMg出納を観察し, 妊娠および授乳中に変動したと推察されるこれら無機質の代謝機能の回復について観察した。離乳直後は体内の代謝機能が授乳時とおなじ働きを示したためか, いずれの無機質も吸収量は多いが, 母乳中に分泌する必要がないために尿中に多く排泄している。CaおよびMgの尿中排泄量が多いことは, 母乳の分泌停止によって体内の乳糖が作用して尿中への排泄が増したとも考えられる。尿中排泄および蓄積量の様相からみて離乳後6日前後で体内におけるCaおよびPの代謝機能は一応安定し, 非妊時の状態にまで回復するようである。Mgは離乳直後に負出納を示したが, 6日以降では妊娠前の代謝機能の状態にまで回復したといえるようである。
  • 海老根 涼子, 慶田 雅洋
    1971 年 24 巻 7 号 p. 392-395
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    パンを50℃で15時間乾燥することによって得られた半乾燥物を試料として塩酸加熱分解法によりパンの総脂肪分を求める方法について検討した。 その結果, 試料15gに対し6N塩酸100mlを添加し15分間直接加熱後45分間煮沸に浴中で加熱する方法がもっとも適当であることを認めた。 ソクスレー法による直接抽出法では全脂質の40~80%しか抽出することはできない。 総脂肪の酪酸価を求めることによりパンの乳脂肪含量を測定した結果, 市販ミルク入りパン5検体の固形物中の乳脂肪分は0~2.15%であることを明らかにした。
    無脂乳固形分の測定にはパン酵母により乳糖以外の還元糖を発酵した後に Fehling-Lehmann-Schoorl 法により滴定する方法を使用した。 本法により上述の市販ミルク入りパンの乳糖含量を測定した結果, 固形物中の乳糖 (無水物) 含量は1.54~3.68%, 脱脂粉乳に換算して3.10~7.42%であることを認めた。
    わが国のミルク入りパンには無脂乳固形分はかなり高いレベルで含まれているが, 乳脂肪含量はまちまちであってほとんど零であるのも少なくないことが示された。
  • 別所 秀子, 池田 安
    1971 年 24 巻 7 号 p. 396-398
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    浸漬温度の相異により, きのこの軟化速度が異なり, 高温ほど軟化は速やかに起こる。 また, 高温ではヌクレオチド生成も, 浸漬の初期では早く進むことは当然考えられるが, それにも限界があり, ある時点でその生成反応もやむように考えられる。 事実, 80℃浸漬ではRNA残存量が最も多いのに, ヌクレオシド, 塩基の量は最も少なかった。 一方, 低温浸漬の場合は, 軟化に時間がかかるが, 呈味成分を生成する酵素反応が徐々に進み, また, 煮あげ行程中にもある程度反応が進み, 従って総計として呈味成分の損失も比較的少ないため良結果になったと思われる。 以上の結果から, 乾しいたけの浸潰は, 80℃では呈味成分が充分現われる条件として最適であるとは考えがたい。 家庭における調理など実際的立場を考慮すると口あたりなども含めて, おいしく煮あげるには, 低温で長時間水もどしを行ない, 徐々にではあるが呈味成分を生成させる方が, 容易であり, 従来よいといわれる調理法にかなっているように思われる。
  • 奥 恒行, 井上 陽一, 細谷 憲政
    1971 年 24 巻 7 号 p. 399-404
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    (1) マルチトール-U-14Cの腸管吸収を白ネズミの小腸のevertedsacを用いて観察してみると, 透過の度合いは空腸, 回腸, 十二指腸の順であったが, 最も透過の高い空腸においてもそれは10%以下であった。 またマルチトールに適応させた場合には透過は低下する傾向にあった。
    (2) マルチトール-U-14Cを経口投与すると, その大部分は腸管内にみいだされるが, およそ8%程度は吸収される。 しかし, 24時間以内に, 吸収されたマルチトールの大部分 (約5%) は尿中に排泄され, 一部は14CO2としても排出される (1.2%) 。
    (3) マルチトール-U-14Cを尾静脈より循環血流中に投与すると, 投与後3時間で60%以上, 24時間で85%以上が尿中に排泄された。
    (4) 白ネズミをマルチトールに適応させると, マルチトールの消化管内の下部への移行が高まり, さらに吸収されたマルチトールの腎からの尿中排泄が早まる傾向が観察された。
    以上の結果から, マルチトールは白ネズミにおいてはわずかに吸収されるが, 吸収されたマルチトールは比較的速やかに排泄されるものと思われる。
  • 平沢 芙美子, 下垣 玲子, 時田 昭枝, 小池 五郎, 吉川 春寿
    1971 年 24 巻 7 号 p. 405-409
    発行日: 1971/11/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    フラクトースの人体内の代謝をグルコースのそれと比較する目的で, 19~26歳の女性に一時に体重1kg当り1gのフラクトース, またはグルコースを経口投与したときに血清中グルコース, フラクトース, 乳酸, ピルビン酸, 無機リン酸濃度が時間的 (負荷後40分, 90分, 120分) にどのような変化を示すかについて実験を行なった。
    実験は二回行なったが, 二回の実験の被検者の状態の差 (食事後2~3時間後の負荷と空腹時負荷) によってグルコース濃度や無機リン酸濃度の時間的変化に差を生じた。
    しかし二回の実験ともフラクトース負荷の場合はグルコース負荷の場合に比べて血清中フラクトース濃度, 乳酸濃度, ピルビン酸濃度において最高2倍程度の時間的上昇を示し, 120分値でももとの値にもどらなかった。また無機リン酸濃度はフラクトース負荷, グルコース負荷ともにわずかな減少がみられた。グルコース濃度はグルコース負荷はもとよりフラクトース負荷でも明らかな上昇がみられた。
    以上の結果から本実験の場合フラクトースは比較的速く吸収され, その一部はフラクトースのまま血液中に入り代謝されるが, 一部はグルコースにも変換すると考えられる。またフラクトース負荷の場合に乳酸, ピルビン酸が非常に大きな上昇を示すのは, 腸から吸収されたフラクトースのかなりの部分は門脈血液中にはいり, 肝臓においてグルコースとは異なる代謝経路によって処理されるのであろうということを示唆している。グルコースはGlucose-6-phosphateを経てグリコーゲン合成, あるいは解糖過程によって代謝され, そこに相応の代謝調節機構が働いているのに対してフラクトースの代謝は主にFructose-1-phosphateおよびC3化合物を経て解糖過程の後半に合流するのでピルビン酸および乳酸が増量しやすいのではないかと考えられる。
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