栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
乾しいたけの香味成分と調理条件
別所 秀子池田 安
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1971 年 24 巻 7 号 p. 396-398

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抄録
浸漬温度の相異により, きのこの軟化速度が異なり, 高温ほど軟化は速やかに起こる。 また, 高温ではヌクレオチド生成も, 浸漬の初期では早く進むことは当然考えられるが, それにも限界があり, ある時点でその生成反応もやむように考えられる。 事実, 80℃浸漬ではRNA残存量が最も多いのに, ヌクレオシド, 塩基の量は最も少なかった。 一方, 低温浸漬の場合は, 軟化に時間がかかるが, 呈味成分を生成する酵素反応が徐々に進み, また, 煮あげ行程中にもある程度反応が進み, 従って総計として呈味成分の損失も比較的少ないため良結果になったと思われる。 以上の結果から, 乾しいたけの浸潰は, 80℃では呈味成分が充分現われる条件として最適であるとは考えがたい。 家庭における調理など実際的立場を考慮すると口あたりなども含めて, おいしく煮あげるには, 低温で長時間水もどしを行ない, 徐々にではあるが呈味成分を生成させる方が, 容易であり, 従来よいといわれる調理法にかなっているように思われる。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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