栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ショ糖, ラフィノース, スタキオースの胃酸に相当するpHにおける分解
笠井 忠川村 信一郎
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1971 年 24 巻 8 号 p. 442-445

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抄録
大豆など豆類に含まれる少糖類のうちその約半分あるいはそれ以上に相当するラフィノース, スタキオースなどを分解する酵素が消化液中にはないとされている。しかし腸内には微生物が生存する。また胃液が酸性であるからこの糖類になんらかの影響があると考え胃液の酸に相当する塩酸酸性 (pH0.5~3.0) で37℃, 1.5~6.0時間この少糖類標品を加温してその変化を還元糖の定量とペーパークロマトグラフィーにより調べた。その結果このような酸性ではフルクトースの遊離だけが起こったので, ラフィノース, スタキオースから種々の割合にフルクトースが遊離したものに相当する混合糖の還元糖定量値からこれら少糖類の遊離フルクトースの割合を算出すると, 胃液中に3時間存在するとして, ラフィノースで0.7~12.6%, スタキオースで0.57~9.3%のフルクトースを遊離することになる。この程度は直接消化しうることになり, また残基の糖はもとの糖よりも微生物の影響を受けやすく, 間接的消化の可能性も増大するものと考える。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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