1972 年 25 巻 4 号 p. 322-327
雄白ネズミの各組織のグリセロ脂質の濃度およびその脂肪酸組成に及ぼす一夜絶食の影響について調べた。
1) 肝臓では絶食によってリン脂質濃度の増加が観察された。他の組織ではこのような影響は認められなかった。
2) 肝臓, 心臓, 腎臓および副腎のレシチンでは絶食によってリノール酸の占める割合の減少, アラキドン酸の占める割合の増加が共通の変化として認められた。
3) 絶食によって睾丸のトリグリセリドでは, ドコサペンタエン酸 (ω6), 肺のトリグリセリドではオレイン酸の占める割合の増加が認められた。
4) 脂肪組織のトリグリセリドでは, 絶食によってリノール酸の占める割合の減少が認められたが, 血漿の遊離脂肪酸の組成には絶食区および対照区間で有意の差は認められなかった。