抄録
低脂肪 (コーンオイル1%) 条件で高糖質食 (デン粉, グルコース, フルクトース, 蔗糖74%) を雄白ネズミ (70~90g) 40匹に90日間与えた場合の血清ならびに肝臓の脂質含量を観察するとともに, 肝フルクトキナーゼ活性についても測定した。
その結果, 体重増加は, フルクトース群, 蔗糖群が他群より少なかったが各臓器 (肝臓, 心臓, 腎臓, 脾臓) の体重に対する比率は蔗糖群, フルクトース群で大きかった。また肝臓中の成分については, トリグリセリドおよび総コレステロール濃度は, デン粉, グルコース群で高く, リン脂質濃度はフルクトース群が高値を示した。血清中の成分については, トリグリセリド濃度では蔗糖群が他群より少し高値を示し, 総コレステロール濃度は蔗糖群が他群より高値を示した。肝フルクトキナーゼ活性は各群間における有意差は認められなかったが, フルクトース群が他群より高い傾向を示した。
以上の結果から, 肝臓のトリグリセリドおよび総コレステロール濃度が予想に反して, フルクトース, 蔗糖群で低値を示したのは飼料中の脂肪量が少なかったためと脂肪源としてコーンオイルを用いたためと考えられ, フルクトース投与に際して脂肪源として用いられる脂肪の種類と量が肝臓の脂質に対して何らかの影響を及ぼすものと考えられる。また, フルクトースまたはトリグリセリドの代謝は, 用いられる白ネズミの年齢により異なるのではないかと思われる。