抄録
体重約180~190gのSD系妊娠白ネズミを用い, 妊娠第1日より種々の程度の食餌制限を行なって妊娠維持に対する摂食量の影響を検討した。1日摂食量を10g, 7.5gおよび5g (対照の約2/3, 1/2および1/3に相当) に制限した際の妊娠維持率はそれぞれ100%, 56%および20%であった。また妊娠第3日から0.5μgエストロンおよび4mgプロゲステロンを注射するといずれの制限群においても完全に妊娠を維持しえた。
食餌制限下で胎仔形成が行なわれる際は母体成分の消耗をともない, その程度は食制限のきびしいほど大であった。また形成された胎仔およびその付属物重量は, 10g群では対照とほぼ同じであったが, 7.5g群, 5g群では有意に小であった。
肝におけるRNA, DNA総量は摂食量と有意の正相関を示し, また筋DNA量も熱量制限群では低値であった。
食制限によりひきおこされる栄養性流産の機構について若干の考察を行なった。