栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
クエン酸第一鉄塩と硫酸第一鉄のラット貧血回復効果の比較
吉野 芳夫平松 芳子寺戸 国昭
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1973 年 26 巻 1 号 p. 53-57

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抄録

二クエン酸一第一鉄四ナトリウム塩は広いpH域で可溶性であり, 吸収可能な低分子キレートとして溶存する。中性溶液中ではその80%が酸化されても消化管吸収不可能な高分子ポリマーの形成はおこらない。この化合物のラット貧血回復効果について硫酸第一鉄と比較した。両鉄化合物は鉄として0.3mg/ratを11日間にわたり10回連続投与し (第1回目は59Feでラベル化合物を投与), 鉄の消化管吸収率, Hb値の回復, 貯蔵鉄の増加を測定した。その結果, 消化管吸収は両化合物とも貧血依存性で, 貧血の亢進に伴い5%から70%にまで吸収率の増加がみられた。Hb値の回復は, クエン酸第一鉄塩投与群がより早い傾向にあったが, 最終的なHb値には差異はなかった。一方, 肝臓非ヘミン鉄は硫酸第一鉄投与群がより高値をとる傾向にある。脾臓非ヘミン鉄では両化合物で差異はなかった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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