白ネズミを用いて, その標準飼料にPCB (アロクロール-1248) を0, 0.02, 0.2および1%; DDT (p, p'-DDT) を0, 0.002, 0.02, 0.2%それぞれ添加したときの生理的影響をしらべた結果,
1. 0.02% PCB群の成長速度は正常群と差がなかったが, 0.2% PCB群は約1/2となった (28日間) 。1%PCB群は3~4日以内に全部死亡した。
2. PCBの摂取で肝臓重量は明らかに増加し, 対体重比ではこの差はいっそう拡大された。肝臓肥大の程度は飼料中のPCBレベルに比例した。
3. 脾臓重量はPCB摂取により低下し, その他, 心臓, 腎臓, 副腎重量には大きな変化がみられなかった。
4. PCB添加飼料では血漿および肝臓コレステロールレベルは有意に上昇し, 正常群の1.5~2.2倍に達した。この変化には明らかなdose-responseがみとめられた。さらにこの変化はきわめて急速に誘起され, 飼料投与2日後ですでに有意差がみられた。
5. PCB添加による血漿コレステロールの上昇はコンニャクマンナン, ペクチンを同時に添加した際, 多くの場合抑制された。しかし, 肝臓コレステロールレベル, 肝臓肥大には改善の傾向はみられず成長速度は途中から低下した。
6. PCBと陰イオン交換樹脂の同時添加では血漿コレステロールは低下せず, むしろ, PCBの単独添加より上昇する場合もあった。コール酸ナトリウムの添加では血漿コレステロールは上昇した。
7. 0.2% PCB添加で血漿トリグリセライドは有意に上昇し, 3%コンニャクマンナン・3%ペクチンなどの同時添加で正常レベルにおさえられた。
8. DDT添加量の低い間は血漿コレステロールの上昇はみられなかったが, 0.2% DDT添加飼料時にはじめて有意に上昇した。
9. 0.02% DDTと同時にコンニャクマンナンを加えたものでは, PCB単独添加群の血漿コレステロールより有意に低い値であった。しかし, 0.02% DDT添加では正常群からの上昇幅が少ないので, くり返した実験でははっきりしなかった。
10. 0.2% DDTでは全身的ケイレンを起こし, 毛は立った状態となったが, 体重減少はみられず, 速度は低下したが持続的に成長した。
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