抄録
脱脂米ヌカからアルカリでたん白質を抽出する際, 懸濁液のpHが経時的に低下することが観察された。この現象は, その際溶出される無機リン酸およびフィチン酸によつてもたらされると推論された。そしてこの懸濁液のpH低下の防止法として, アニオン交換樹脂の添加が考えられた。アニオン交換樹脂としては, Dowex 1×4 (OH型, 100~200メッシュ) が最良の結果を与え, リン化合物の除去のみならず, より高分子形態のたん白質抽出率の向上がもたらされた。さらにこの方法によつて得られたたん白質標品は, 従来法のものにくらべてより純度の高いものであった。