栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
果実類, きのこ類, 海草類, 茶, コーヒーおよびココア類のステロール組成
日本食品, とくに植物性食品中のステロール類の組成 (第4報)
岡 芳子桐山 修八吉田 昭
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1973 年 26 巻 5 号 p. 317-327

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抄録

果実類, きのこ類, 海草類, 茶, コーヒー, ココア類から抽出した脂質の不鹸化物中のステロールを, 果実類, 茶, コーヒー, ココア類と海草類の褐藻と緑藻については第11), 第22), 第3報3)と同様にβ-シトステロール (β-S) 相当量としてあらわし, きのこ類についてはエルゴステロール (Er) 相当量としてあらわし, 海草類の紅藻についてはコレステロール (Ch) 相当量としてあらわした。また第22), 第3報3)と同様に不鹸化物の薄層クロマトグラフィーをおこない, ステロール部分をガスクロマトグラフィーにかけた。
1) 果実類のステロール量は可食部100gあたりでは0.6~59.9mg, 乾燥物1gあたりでは0.06~2.78mgであった。ステロール組成ではβ-Sがいずれの試料にも最も多く含まれていた。β-Sのほかにキャンペステロール (C) とスチグマステロール (St) の両方を含むもの, CとStの一方のみを含むもの, またCとStの両方とも見いだされないものがあった。Chのものと思われるピークがグレープフルーツ, ダイダイ汁, ダイダイ皮, ハッサク, ブンタン, レモン, レモン皮, バナナ, ヤシ果汁に認められた。マスクメロンとプリンスメロンには第3報3)のうり類と共通した未同定のピークがあった。ステロール量は同種でも品種によってかなり差のあるものがあるが, ステロール組成は種によって固有のものがあることがわかった。
2) きのこ類のステロール量は可食部100gあたりでは14.7~46.6mg, 乾燥物1gあたりでは0.16~4.39mgで, キクラゲのステロール量が最も少なかった。Erはいずれのきのこにも含まれていて, キクラゲをのぞいてはきのこ類に最も多く含まれていた。きのこ類にはEr以外に未同定のピークがあった。
3) 海草類のステロール量は可食部100gあたりでは1.9~80.9mg, 乾燥物1gあたりでは0.02~1.38mgであった。今回しらべた3種の褐藻のおもなステロールはフコステロールであり, 24-メチレンコレステロールも今回しらべたいずれの褐藻にも含まれていた。今回しらべた3種の紅藻のおもなステロールはChであった。今回しらべた緑藻ではアナアオサの1種とアオノリでは2種とも28-イソフコステロール (If) がおもなステロールであり, アナアオサの他の1種ではβ-SとMとChが100: 81: 65の割合で含まれていてIfは見いだされなかった。
4) 茶, コーヒー, ココア類の可食部100gあたりのステロール量は, 緑茶とくに番茶に多く, 1, 140mgであり, 他の緑茶は326~411mgであった。コーヒーの可食部100gあたりのステロール量はインスタントコーヒーの15mgを除いては79.4~110.2mgであった。コーヒー豆のステロール量とステロール組成には煎ったことによる変化は見られなかった。コーヒー, ココアのステロール組成では, いずれの試料にもβ-Sが最も多く含まれ, β-SのほかにCとStが含まれていた。茶のステロール組成では, いずれの試料にもβ-Sがほとんどをしめ, CとStは見いだされず, ほかに未同定のピークが見られた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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