1) 味噌に塩化アルミニウムを加えると黄色を呈し, かつて着色安定剤として使用されていた。この作用機作を知るために, 大豆中に含まれるフラボノイド化合物であるgenisteinとdaidzeinを分離し, 塩化アルミニウムを反応させた結果, 前者は黄色化合物を生成したが, 後者は無のままであった。
2) Genisteinは塩化アルミニウムと反応してAl (genistein) 3の組成を持つmp 276℃の化合物を生成した。この化合物は, エタノール, メタノール, アセトン, 酢酸エチルに可溶, ピリジンに易溶, 熱水に難溶, クロロホルム, n-ヘキサン, エーテル, ベンゼンには不溶であった。
3) この塩は, genisteinの5位の水酸基と4位のカルボニル基にアルミニウムがキレートした塩であると考えた。
4) この塩は, 塩酸酸性 (pH 4.5) の70%エタノール溶液中で強い蛍光を発し, excitation max 420nm, emission max 480nmであった。