栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
29 巻, 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 太田 直一, 渡辺 忠雄
    1976 年 29 巻 3 号 p. 143-146
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 味噌に塩化アルミニウムを加えると黄色を呈し, かつて着色安定剤として使用されていた。この作用機作を知るために, 大豆中に含まれるフラボノイド化合物であるgenisteinとdaidzeinを分離し, 塩化アルミニウムを反応させた結果, 前者は黄色化合物を生成したが, 後者は無のままであった。
    2) Genisteinは塩化アルミニウムと反応してAl (genistein) 3の組成を持つmp 276℃の化合物を生成した。この化合物は, エタノール, メタノール, アセトン, 酢酸エチルに可溶, ピリジンに易溶, 熱水に難溶, クロロホルム, n-ヘキサン, エーテル, ベンゼンには不溶であった。
    3) この塩は, genisteinの5位の水酸基と4位のカルボニル基にアルミニウムがキレートした塩であると考えた。
    4) この塩は, 塩酸酸性 (pH 4.5) の70%エタノール溶液中で強い蛍光を発し, excitation max 420nm, emission max 480nmであった。
  • 菊池 武昭, 和田 俊, 鈴木 平光
    1976 年 29 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    水産食品の化学的検査法に官能検査の特長を加えるための基礎的研究として, 揮発性塩基と揮発性酸の異臭発現に対する意義を調べた。
    1) 魚肉鮮度低下時の揮発性塩基量と揮発性酸量の関係をにおいの変化と関連させて観察し, 異臭発現に酸の共存が必要なことを推定した。
    2) 鮮度低下生魚肉から, ギ酸, 酢酸, プロピオン酸, n-, iso-酪酸, n-, iso-吉草酸, n-カプロン酸を確認し, 量的に酢酸が主要であること, 経時的にプロピオン酸, 酢酸, n-酪酸, iso-吉草酸が増加することを確認した。
    3) 確認された脂肪酸8種および揮発性塩基4種の閾値を測定し, 生成量と閾値の比 (におい値) の比較から, 異臭発現にトリメチルアミン, 酢酸, 酪酸, 吉草酸が高い寄与度を示すことを確認した。
    4) トリメチルアミンと酢酸や酪酸の混合により, においが煮熟魚肉から鮮度低下魚肉の異臭への変異があること, 酢酸に酪酸や吉草酸などが共存するときに, においが強化されることで異臭発現機構の一部を明らかにした。参考として, 塩基類の揮発性を付記した。
  • 3食給食のある寮に生活する女子大生についての30日間の観察
    山口 蒼生子, 鈴木 久乃, 鈴木 継美
    1976 年 29 巻 3 号 p. 153-157
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    3食給食のある寮で生活している女子大学生の毎日の栄養摂取にみられた変動のうち, 主として曜日に由来する変動が分析された。週日のうち, 調理実習のある火曜日にエネルギーを除いてすべての栄養素の摂取量が高値を示し, 他方授業がなく給食もない日曜日にすべての栄養素の摂取量が低値となり, しかも人による大きなばらつきがみられた。個人, 曜日および個人と曜日の交互作用項による変動はいずれの栄養素の場合も有意であり (ただし交互作用項はエネルギーの場合有意ではなかった), ある個人が特定の曜日にとくに多量または少量に摂取する傾向を持つことが示された。これに関連して日曜日の食にかかわる行動をみると, 学生の出身地が一つの要因として影響していることが認められた。家庭に帰るか否かによって摂取食品の内容が異なった。他方, 出身地とはかかわりなく, 日曜日に欠食の多いこと (とくに朝) が目立ち, それが全体として栄養摂取量を低め, ばらつきを大きくしている。
    この結果から, この種の生活条件 (1週間を単位にくり返しがあり, 週日は拘束が強く日曜のみ解放されるという) のもとで生活している人々の栄養摂取を知るためには, 少なくとも1週間の調査期間が必要であると判断された。
  • 中村 栄一, 福島 秀夫, 織田 敏次
    1976 年 29 巻 3 号 p. 159-164
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    アミノ酸輸液時の生体内アミノ酸利用率を検討するため, 健常成人および各種内科疾患患者に15N-グリシンを静注し, 15N-アミノ酸の血中消失曲線より消失係数 (K値) を求めた。次に15N-グリシンに各種アミノ酸輸液を混じて投与しK値を得た。
    1) 15N-グリシン単独投与の場合, K値は健常若年者 (7例) 0.0350±0.0036, 健常高年者 (6例) 0.0309±0.0039で高年者は若年者に比べ有意の低下を示し, 高年者ではアミノ酸利用の低下がうかがわれた。K値は肝硬変症例では低下し, 肝性昏睡例ではさらに低下する。甲状腺機能低下症例でも低下を示したが, 治療により病状の改善とともに上昇した。痛風例では上昇例と低下例があり病型との関連を示唆し, ネフローゼ症候群例では上昇を示しアミノ酸利用の亢進がうかがわれる。
    2) 15N-グリシンにグルコースまたはキシリトールを加えると, K値は高くなる。グリシンまたはリジンを加えると前者は低下, 後者は上昇を示した。
    3) 15N-グリシンにアミノ酸輸液を混じて静注するとK値は人乳中のアミノ酸組成に準じキシリトール付加のP-X液の場合は高値を示し, 効率よく組織にとりこまれることが推察された。
  • 小麦グルテンの食品加工への利用に関する研究 (第3報)
    阿武 尚彦, 内藤 恵一, 森 一雄
    1976 年 29 巻 3 号 p. 165-170
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1. 塩擂潰魚肉にグルテン粉末を添加して坐りゲルの形成時におけるグルテンの作用について検討した結果, 0℃の坐りでは, 36℃の坐りに比べゲル強度の増加割合が低下した。このことは, おそらく魚肉たん白自身のコンフォメーションの変化に起因していると考えられた。
    2. グルテン粉末を添加した塩擂潰魚肉の高温長時間の坐りは, 坐りゲルからかまぼこへの変化を妨げる傾向にあった。このことは, グルテンの遅い熱凝固速度に起因すると考えられた。
    3. グルテン粉末によるかまぼこの足補強効果は, グルテンの加熱ゲルの性質に負うところの大きいことが認められた。
  • 笠原 賀代子
    1976 年 29 巻 3 号 p. 171-172
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    In order to identify the aroma components of roasted rice bran, an aroma concentrate of roasted rice bran was prepared by steam distilla-tion followed by ether extraction. The aroma concentrate was analyzed by gas chromato-graphy. Four main components were detected, which were isolated by preparative gas-chromato-graphy. They were identified as furfural, 5-methylfurfural, furfurylalcohol and 4-vinyl-guaiacol by MS, IR, GLC and TLC analyses. These four components seem to be principal aroma constituents of the roasted rice bran.
  • 亀高 正夫, 石井 孝彦, 矢野 正晴
    1976 年 29 巻 3 号 p. 173-175
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1. クロロフィルの存在しないChlorella regularis黄色株について, 幼若白ネズミを用いて, たん白質の栄養価を検討し, 真の消化率と生物価は, それぞれ次の値 (%) を示した。噴霧乾燥クロレラ88.6, 77.6; 脱色クロレラ87.8, 80.7; 全細胞画分88.7, 76.5; 不溶性画分94.2, 88.2。この不溶性画分はカゼインに匹敵する栄養価を示した。
    2. 従来, クロレラの消化率を改善するための有効な手段とされていた細胞壁破壊と脱色の操作を試みたが, 本実験に供した試料ではそれらの効果が認められなかった。
  • 斉藤 なつ江, 桂 富美子, 三鴨 正朋
    1976 年 29 巻 3 号 p. 175-179
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    An investigation was made for the better analysis of non-volatile organic acids in one dimentional ascending paper chromatography by employing their alkaloid salts.
    Artificial mixture of organic acids (oxalic, malic, malonic, citric, glycolic, fumaric, and succinic acid), assumed to be widely contained in food stuff, were developed in alternating basic solvent systems at room temperature after modification to their alkaloid salts (brucine, cinchonine, quinine, and strychinine salt). Satisfactory resolution was obtained using acid-base indicator mixed with alkaline permanganate solution as a detecting reagent.
  • 反応生成物の抗酸化性およびトコフェロールとの相乗性について
    加藤 博通, 堀江 敏子, 藤巻 正生
    1976 年 29 巻 3 号 p. 179-181
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    Fig. 1は, 50℃に保存した大豆油に対する褐変油の添加効果を示す。また, Fig. 2は37℃におけるリノール酸メチルに対する添加効果を示す。いずれも酸化抑制効果がみられるが, とくに大豆油で顕著である。POVの抑制だけでなく, CVも同様な傾向を示している。
    Fig. 3は, 揚油 (大豆油) に褐変油を添加して調製したポテトチップを50℃に保存した場合の安定性をみたものであるが, 発臭日は無添加区の15日に対し, 添加区は26日であった。
    Fig. 4にみられるように, クッキーにおけるラードの安定性に及ぼす褐変油の添加効果はほとんど認められないが, 天然トコフェロールミックス (0.02%) と同時に添加すると効果は著しい。すなわち対照区の発臭日16日に対し, トコフェロール添加区は75日となるが, 褐変油を併用添加すれば, 132日後においてもなお発臭は認められなかった。
    以上の実験結果からグルコースとロイシンから調製した褐変油は抗酸化性を示し, とくにトコフェロールとの間に著しい相乗性を示すと考えられる。前述したFig. 1とFig. 2の実験において褐変油の効果が, リノール酸メチルに対してよりも大豆油に対して著しいのは, 大豆油に存在しているトコフェロールなどとの相乗作用によると考えられる。
    山口らは, 精製したメラノイジンのトコフェロールとの相乗性を報告している。本実験の場合は, 油中加熱反応生成物であるので, 高分子重合物質はほとんど含まれていないと思われるが, メラノイジンと同様の相乗効果が認められた。
  • 1976 年 29 巻 3 号 p. 182-185
    発行日: 1976/06/20
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 1976 年 29 巻 3 号 p. 192
    発行日: 1976年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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