栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
栄養摂取量の変動について
3食給食のある寮に生活する女子大生についての30日間の観察
山口 蒼生子鈴木 久乃鈴木 継美
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1976 年 29 巻 3 号 p. 153-157

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抄録

3食給食のある寮で生活している女子大学生の毎日の栄養摂取にみられた変動のうち, 主として曜日に由来する変動が分析された。週日のうち, 調理実習のある火曜日にエネルギーを除いてすべての栄養素の摂取量が高値を示し, 他方授業がなく給食もない日曜日にすべての栄養素の摂取量が低値となり, しかも人による大きなばらつきがみられた。個人, 曜日および個人と曜日の交互作用項による変動はいずれの栄養素の場合も有意であり (ただし交互作用項はエネルギーの場合有意ではなかった), ある個人が特定の曜日にとくに多量または少量に摂取する傾向を持つことが示された。これに関連して日曜日の食にかかわる行動をみると, 学生の出身地が一つの要因として影響していることが認められた。家庭に帰るか否かによって摂取食品の内容が異なった。他方, 出身地とはかかわりなく, 日曜日に欠食の多いこと (とくに朝) が目立ち, それが全体として栄養摂取量を低め, ばらつきを大きくしている。
この結果から, この種の生活条件 (1週間を単位にくり返しがあり, 週日は拘束が強く日曜のみ解放されるという) のもとで生活している人々の栄養摂取を知るためには, 少なくとも1週間の調査期間が必要であると判断された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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