栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
発育中の温州ミカンおよび種々カンキツ果実のトリヒドロキシベンゼン酸化酵素活性
東野 哲三藤田 修二小宮 博喜
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1978 年 31 巻 1 号 p. 95-98

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抄録

発育各時期における温州ミカンと種々カンキツ成熟果のPPO活性およびポリフェノール含量等を測定し, 次のような結果を得た。
1. 温州ミカンの発育過程を通じて, 未熟果の場合と同様, フロログルシノール, ピロガロールなどのトリヒドロキシベンゼンに対する酸化酵素活性が高く, とくにその発育初期 (6月) と着色期 (10月) には活性のピークがみられた。
2. 果皮中の全ポリフェノール含量は発育初期に高かったが, 果実の肥大生長に伴ない急速に低下した。一方, 褐変反応を阻害するAsAは初期には少なかったが, 着色期に向って著しく増大した。
3. 果実の各部位にトリヒドロキシベンゼン酸化酵素の活性が見いだされたが, 果皮とくにフラベドにもっとも高い活性が認められ, アルベド, パルプの順に活性は低くなった。
4. 種々カンキツ類の成熟果のPPO活性を測定したところ, それらのすべてに強いトリヒドロキシベンゼン酸化酵素の存在が認められた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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