栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
白ネズミ小腸粘膜刷子縁におけるグルコシルスクロースならびにマルトシルスクロースの水解能
山田 和彦佐々木 光美森内 幸子細谷 憲政
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1978 年 31 巻 3 号 p. 267-272

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抄録
成熟白ネズミの小腸粘膜刷子縁を用いてglucosyl-sucrose (G2F) ならびにmaltosyl-sucrose (G3F) の水解能を観察した。
水解反応は, G2F, G3Fのいずれも, 基質濃度6mMにおいて最大反応速度を示し, 至適pHは6.0であった。酵素量と水解量, 反応時間と水解量はいずれも直線的な関係にあった。G2FならびにG3Fの小腸粘膜刷子縁の水解能はマルトースに匹敵するものであった。
G2FあるいはG3Fとスクロースを混合した場合の水解反応の初速度は, おのおのの基質の単独の場合の初速度の和よりも小さいものであった。それゆえ, G2FならびにG3Fはスクラーゼによって拮抗的に水解されると考えられる。さらに, 基質を混合して観察した場合の見かけのKm値あるいはVmax値と, G2FならびにG3Fのモル比f値との関係から, この拮抗作用は同一の活性部位において示されるものと考えられる。一方, マルターゼに対するG2FならびにG3Fの影響においても, 同様の結果が得られた。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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