栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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ビフィダスミルクによる高齢者の排便回数および糞便内ビフィダス菌数におよぼす影響
関 増爾五十嵐 稔福田 芳子島村 誠一川島 拓司小笠 勝啓
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1978 年 31 巻 4 号 p. 379-387

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抄録

浴風園に在住する老人の日常の排便傾向を調査し, さらに, ビフィダス菌を含むビフィダスミルク (以下Bミルクとする) の飲用が被検者の排便回数あるいは糞便菌叢に及ぼす影響について検討した。
1) 便秘ぎみで1日に1回の排便がない排便不安定者は, 回答の得られた老人126名中の39名 (30.9%) であった。そのうち, 2~3日に1回の排便と回答した例が最も多く, 21名 (16.7%) に達した。便秘症に分類できる4~7日に1回の排便者は8名 (6.3%) であった。
2) 排便不安定者18名がBミルクおよびビフィダス菌を含まない対照ミルクを各10日間ずつ飲用した際の排便回数は, 飲用前の48回に対して, 対照ミルク飲用で5.7回, さらにBミルクの飲用で7.1回となり, 供試ミルクとくにBミルクの飲用で排便回数は増加する傾向を示した。
3) 10日間の各飲用試験期間当たりの排便回数が, 飲用前のそれより2回以上多い例を便性改善 (+) とすると, 対照ミルクの飲用で5例 (27.8%), またBミルクの飲用で12例 (66.7%) がこれに該当した。また, 被検者の各飲用試験期間内における排便回数の違い, あるいは便性改善者数の違いは統計的に有意差があった (有意水準5%)。
4) Bミルクの飲用で糞便中のビフィダス菌数は増加し, 全菌数中に占めるビフィダス菌の比率および大腸菌群数に対するビフィダス菌の比率も高くなった。対照ミルクの飲用ではビフィダス菌の増加はみられなかった。
5) Bミルク飲用時に糞便培養を行なった5例中の2例では, 供試ビフィダス菌が定着, 増殖していた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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