栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
K欠乏食飼育白ネズミの症状と食欲への影響について
内藤 初枝
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1978 年 31 巻 6 号 p. 579-586

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抄録

実験開始時体重75g前後のWistar系ネズミを用い, 無K食餌投与により発現する臨床的K欠乏症状を把握すること, また無K食餌投与により示される食欲への影響につき調べることを目的として実験を行ない次のような結果を得た。
各週単位のK欠乏症状
1週間後: 摂食量・体重増加量ともに対照群とくらべ明らかに低下を認めた. とくに無K食餌投与2日目で早くも摂食量は対照群の60~70%を示した。飼料効率も著明な減少を示した。剖検, 尿所見, 血液生化学所見, 組織標本検索はいずれも正常であった。臓器重量比では腎臓の重量比が高値を示しはじめた。
2週間後: 摂食量・体重増加量, 飼料効率などは先週とほば同様の結果を示した。剖検, 尿所見はともに正常であった。血液生化学所見では血清K値のわずかな減少, SGOTの上昇が認められた。臓器重量比では腎比率の増加と胸腺比の減少が示された。また肝組織図では脂肪変性がみられ小葉周辺部に散在していた。
3週間後: 諸症状はほぼ2週間後のものと同様またはさらに著明となった。また毎日の観察では腹壁筋の緊張低下がみられ, 非常に柔軟な状態となった。
4週間後: 諸状症についてはさらに程度が進行していった。体重増加量の低下が著しく, また血液生化学所見ではHt, Hbなどの軽度低下がみられ, SGPTもしだいに高値を示していった。毎日の観察では先週まで軟化していた腹壁筋がこの週はむしろ硬化していった。また四肢の緊張, 動作過敏, 食行動の変化, 摂食時間の短縮などが特徴として認められた。
5週間後: この週にはK欠乏群の中に突然死亡するものが出現した。死亡ラットについてはその前日までの観察でとくに異変もなく衰弱した様子もみられなかった。K欠乏群全般としては摂食量が対照群の約60%, 体重増加量は0.5~1.0g/日となり飼料効率も低値を示した。血清K値, SGOT, SGPTは異常値を示し, 腎重量比の増加, 胸腺比率の低下が対照群とくらべいっそう著明になった。肝組織図にみられた脂肪変性もすでに肝実質細胞の減少にまでいたる程度の悪化が示されていった。このほか尿糖の検査ではK欠乏のものに陽性を示したものが多くみられた。剖検所見では体腹部脂肪の著減を認め, X線検査ではとくに骨組織への変化は認められなかった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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