抄録
新しい水産食糧資源として開発された9種の魚類の普通肉について, その有効利用に資するための基礎的研究として, 一般成分, 含窒素エキス成分ならびにたん白質のアミノ酸組成を分析し, 次の結果を得た。
1) 一般成分では, クサカリツボダイの粗脂肪含量が著しく高いのが目だった。
2) エキス成分としては, 遊離ならびに結合アミノ酸, 核酸関連物質, クレアチン, クレアチニン, トリメチルアミンオキサイド, トリメチルアミンなどを分析し, バラクータ, シルバー, オキヒラスでは遊離ヒスチジン, イノシン酸, クレアチンなどに富むこと, ミナミダラとホキではアンセリンに富み, 1-メチルヒスチジンが少量検出されること, クサカリツボダイではタウリンに富むことなど, それぞれのエキスの組成の特徴を明らかにした。
3) 分析した9種の魚肉たん白のアミノ酸組成は相互によく類似し, また本邦産主要食用魚のそれとも酷似していた。したがって, これら新資源魚類は, 日常食用としている魚類と同等の高い栄養価をもつ良質の動物性たん白源であると判断された。