抄録
絶食ラットに実験食としてコーン油またはオリーブ油の高たん白高脂肪食, 無たん白高脂肪食, または無脂肪高たん白食を投与した (R1) 後, 再び絶食して各群に同じ無脂肪食を投与したとき (R2) の脂肪酸合成系酵素の誘導に対して実験食の影響が残るかをしらべた。絶食と投与はいずれも2日ずつ行なった。R2の無脂肪食によるglucose-6-phosphate dehydrogenaseとmalic enzymeの誘導がR1の高たん白高脂肪食群では無たん白高脂肪食または無脂肪高たん白食群にくらべて有意に低く, またコーン油を摂取した動物ではオリーブ油を摂取した動物にくらべてさらに低かった。しかしR1の無たん白高脂肪食群では, 両油群ともR1の無脂肪高たん白食群とともに非常に高い酵素誘導がみられた。この現象はR1で高たん白高脂肪食群に8-azaguanineを投与したときにも観察された。これらのことから, 高脂肪食摂取群ではたん白を摂取してde novoのたん白合成を伴うとき, 両酵素に対するrepressor systemのようなものがつくられ, リノール酸はオレイン酸よりも強いcorepressor様の働きをする可能性が考えられる。またacetyl-CoA carboxylaseでもそれほど著明ではないが, 同様な結果が得られたが, 油の種類による有意差はなかった。