栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ラット組織中ミネラル含量ならびに金属酵素活性に対する女性ホルモンの影響
鈴木 和春菅家 祐輔五島 孜郎
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1979 年 32 巻 2 号 p. 135-141

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抄録

生体内ミネラル (Zn, Fe, Cu, Mg, Na, K, Ca) 含量と金属酵素 (アルカリホスファターゼ (APase), トリプトファンピロラーゼ (TPase)) 活性におよぼす女性ホルモン (E2) の影響を調べるために, 雌性ラットを去勢し, 2週間にわたり毎日, 皮下注射した。その結果肝臓および子宮の湿重量, 乾燥重量とも増大し, それに伴って, ほとんどのミネラルが増加した。この増加はおそらく他のプールからの移動によるものと思われる。n含有酵素であるAPaseは, 脳, 肝臓, 腎臓ともE2処理によりZn濃度が減少していたにもかかわらず, 脳で不変, 肝臓と腎臓で上昇した。Fe含有酵素のTPaseも, Fe濃度がE2処理で減少した肝臓で, 活性に変化が認められなかった。以上のことから, 女性ホルモンによってもたらされる組織内ミネラル濃度の変動と金属酵素の活性変動の間には直接的は関係はないように思われる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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