栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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クロロゲン酸の緑変で生じる色素の分離
中谷 千絵唐沢 郁夫
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1979 年 32 巻 3 号 p. 163-167

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抄録

炭酸水素ナトリウムアルカリ性水溶液およびMenzel緩衝液を用いてクロロゲン酸と含窒素化合物とから調製した緑色液について, 溶離液を蒸留水またはMenzel緩衝液とし, Sephadex G-25, G-15によるカラムゲルクロマトグラフィーで, 色素の分離を行なった。
溶離液を蒸留水とし, 炭酸水素ナトリウム水溶液を用いクロロゲン酸とアラニン, フェニルアラニン, グルタミン酸などのアミノ酸とから調製した緑色液から, blue-green, purple, yellowの3色素成分が分離された。いずれのアミノ酸の場合でも, blue-green色素は可視領域に共通にあらわれる弱い吸収λmax 630nmと, 675~690nmの範囲に個々のアミノ酸に特徴的な強い吸収をもつλmaxを示した。yellow色素は可視領域に特徴的なλmaxを示さなかった。また, 溶離液をMenzel緩衝液とした場合, クロロゲン酸とフェニルアラニンとから調製した緑色液から, purple色素は分離されず, green色素 (可視領域: λmax 630, 690nm) と上記yellow色素と同様のyellow色素が分離された。しかし, 溶離液を蒸留水とした場合, green色素からblue-green, purple色素が得られた。
一方, Menzel緩衝液を用いてクロロゲン酸とフェニルアラニンとから調製した緑色液について, 色素の分離を行なった。溶離液をMenzel緩衝液とした場合, green色素 (可視領域: λmax 630, 690nm) とyellow色素が分離された。しかし, 溶離液を蒸留水とした場合, green色素から, 上記と同様に, blue-green, purple色素が得られた。
メチルアミンの緑色液からはblue色素 (可視領域: λmax 630, 680nm) が得られ, アンモニアの緑色液からはpurple色素 (可視領域: λmax 555nm) が得られた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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