抄録
赤クローバー葉にはケルセチンとその配糖体が含まれ, また, ケルセチンはカゼインと非酵素的に反応して, カゼインに着色を付与することが知られているので, ケルセチンがカゼインの栄養価に及ぼす影響と, ケルセチンにより褐変したカゼインの栄養価について, 成長中ラットで検討した。
1) ケルセチンを飼料中0.5%で添加したカゼインの真の消化率と生物価は, いずれも, カゼインの場合とくらべて差がなかった。
2) ケルセチンにより, 非酵素的に褐変したカゼインと対照の加熱カゼインを, 2群のラットに, 試験期間II期とIII期で, 交互に給与したところ, 褐変カゼインの真の消化率と生物価は, いずれも, 対照に比し, III期で有意に減少した。たん白効率は, 褐変カゼインが加熱カゼインよりも低い傾向を示した。