栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
放射化分析法による食品中セレン含量の測定
野田 克彦平井 昭司檀原 宏
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1980 年 33 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

熱中性子線照射による食品中Se含量の放射化分析定量を行ない以下の結果を得た。
1) 大部分の動物性食品は, その凍結乾燥試料200~500mgを中性子線束1×1012n cm-2 sec-1で10秒間照射後ただちに77mSeのエネルギー・ピークを30秒間計測することで定量可能であった。
2) Se含量が0.05ppm以下の場合が多い植物性食品や, Se含量は高くとも食塩を添加してある加工食品では, 1の方法でのSe定量は不可能な場合が多かった。その場合, 試料500mg~1gを中性子線束4×1012n cm-2 sec-1で5時間熱射し, 10~20日間放置後に湿式灰化をし, 分解液からSeを分別沈澱で集め, そのなかの75Seのエネルギー・ピークを測定する方法で定量を行なった。
3) Se含量は動物性食品に高く, とくに魚介類は高含量 (1ppm以上) だった。米, 野菜, 果物など植物性食品は一般に0.1ppm以下だったが, 大豆加工品と食パンは植物性食品中ではSe含量が高かった。
4) 食事を献立に従って作製し, 食事中のSe含量を実測し, 個々の食品の測定値の総和として計算から求めた値と比較したところ, 実測値が計算値よりも高く, あまり良い一致はみられなかった。一日当たりのSe摂取量は100~200μg程度と推定された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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