栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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緑および赤ピーマン中の脂質成分について
木村 恵子和田 照美遠藤 牧子岩田 伊平
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1982 年 35 巻 2 号 p. 95-101

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抄録

緑および赤ピーマン中の脂質成分の同定を行なうために, 細切したピーマンは, アセトン中で粉砕した。これをエーテルで抽出し, 全脂質成分を得た。全脂質成分はケン化後, エーテル層と水層とにわけ, 不ケン化物が含まれるエーテル層は, GC分析を行なった。一方, 水層は, 常法に従って脂肪酸エチルエステルを調製し, 脂肪酸組成を調べた。さらに赤ピーマンの全脂質成分は, 薄層クロマトグラフィーによって, キサントフィル類を取り除き, セライト545-酸化マグネシウムで分画した。溶出した各フラクションはケン化後, n-ヘキサンで抽出してGC分析を行なった。各フラクションの主成分は, 再クロマトグラフィーによって単離精製し, MS, IRおよび1H-NMRを測定した。結果は次のとおりである。
1) 赤および緑ピーマンの不ケン化物から, α-トコフェロール, カンペステロールおよびβ-シトステロールが, GCによって検出された。α-トコフェロールについては, 緑ピーマンに比べ, 赤ピーマンに多くみられた。
2) 総脂肪酸のうち不飽和脂肪酸は, 緑ピーマンが80.8%, 赤ピーマンが66.2%であった。不飽和脂肪酸の主成分は, C18: 2およびC18: 3で, その他にC18: 1がわずかに含まれていた。飽和脂肪酸としては, C12: 0, C14: 0, C16: 0, C17: 0およびC18: 0がみられた。
3) 赤ピーマン不ケン化物成分として, イソホロン, 6-ヒドロキシ-4, 6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オン, フィトールおよびゲラニルゲラニオールが単離同定された。これらの成分は, 緑ピーマンの不ケン化物中にも検出されたが, ゲラニルゲラニオールの量はわずかであった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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