栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
35 巻, 2 号
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  • 木村 恵子, 和田 照美, 遠藤 牧子, 岩田 伊平
    1982 年 35 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 1982/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    緑および赤ピーマン中の脂質成分の同定を行なうために, 細切したピーマンは, アセトン中で粉砕した。これをエーテルで抽出し, 全脂質成分を得た。全脂質成分はケン化後, エーテル層と水層とにわけ, 不ケン化物が含まれるエーテル層は, GC分析を行なった。一方, 水層は, 常法に従って脂肪酸エチルエステルを調製し, 脂肪酸組成を調べた。さらに赤ピーマンの全脂質成分は, 薄層クロマトグラフィーによって, キサントフィル類を取り除き, セライト545-酸化マグネシウムで分画した。溶出した各フラクションはケン化後, n-ヘキサンで抽出してGC分析を行なった。各フラクションの主成分は, 再クロマトグラフィーによって単離精製し, MS, IRおよび1H-NMRを測定した。結果は次のとおりである。
    1) 赤および緑ピーマンの不ケン化物から, α-トコフェロール, カンペステロールおよびβ-シトステロールが, GCによって検出された。α-トコフェロールについては, 緑ピーマンに比べ, 赤ピーマンに多くみられた。
    2) 総脂肪酸のうち不飽和脂肪酸は, 緑ピーマンが80.8%, 赤ピーマンが66.2%であった。不飽和脂肪酸の主成分は, C18: 2およびC18: 3で, その他にC18: 1がわずかに含まれていた。飽和脂肪酸としては, C12: 0, C14: 0, C16: 0, C17: 0およびC18: 0がみられた。
    3) 赤ピーマン不ケン化物成分として, イソホロン, 6-ヒドロキシ-4, 6-ジメチル-3-ヘプテン-2-オン, フィトールおよびゲラニルゲラニオールが単離同定された。これらの成分は, 緑ピーマンの不ケン化物中にも検出されたが, ゲラニルゲラニオールの量はわずかであった。
  • 篠田 隆子, 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1982 年 35 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 1982/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    液体クロマトグラフィーにより, 穀類, 豆類, 卵類, 乳類, 野菜類およびキノコ類のプリン塩基, すなわち, アデニン, グアニン, ヒポキサンチンおよびキサンチンを分別定量した。
    測定値をTable 1~4に示した。卵類および乳類の総プリン塩基量は極微量であったのに対し, 大豆およびヒラタケは約1mmole/100g含有し, 相当多い量であった。
    調理に関しては, “焼く”, “煮る”, “炒める”, “茹でる”4方法のうち, 牛肉の煮込む調理法により, キサンチンおよびヒポキサンチンは約70%, アデニンは約30%の減少が見られた。その他の調理法では, ほとんど影響は見られなかった。
  • 豊田 正武, 伊藤 誉志男, 加藤 丈夫, 深澤 喜延, 神蔵 美枝子, 一色 賢司, 慶田 雅洋
    1982 年 35 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 1982/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1) 1976~1980年の間, 仙台, 山梨, 大阪・神戸, 北九州の全国4ブロックにおいて市販食品9, 171検体を集め, 溶剤抽出・ガスクロマトグラフィー法により, ソルビン酸含量を分析し, 1日総摂取量を求めた。ソルビン酸の1人1日摂取量は, 国民栄養調査の食品群別食品摂取量に基づく使用実態では63.8mg, 農林水産統計より計算した食品群別食品消費量に基づく使用実態では71.2mgであった。
    2) 7日間のモデル献立によるソルビン酸の1日摂取量は平均25.5mgで, 献立により0~90.6mgもの差が生じ, 使用食品中のソルビン酸含量により相当変動した。
    3) FAO/WHOの評価したADI 25mg/kg体重すなわち平均的日本人の場合の1, 250mg/50kgと比較し, 本報告の平均摂取量は2.1~5.7%にすぎない。
    4) 1969年に報告されたソルビル酸の推定摂取量と比較し, 本報告の摂取量は86%減少し, 約1/7となった。
  • 北田 善三, 井上 雅成, 玉瀬 喜久雄, 芋生 真子, 蓮池 秋一, 佐々木 美智子, 谷川 薫
    1982 年 35 巻 2 号 p. 121-124
    発行日: 1982/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    HPLC法による食品中の遊離型NiAおよびNAAの分析条件を検討し, 獣肉・魚介類中の含量を測定した。
    1) HPLC法は, カラムとして逆相分配系LiChro-sorb RP-8を, NiAのカウンターイオンとしてテトラ-n-ブチルアンモニウムイオンを用いたイオンペアー法で分析したところ, 食品成分の妨害もなく定量できた。
    2) NiAおよびNAAの添加回収率は, 牛肉で95.9%および96.9%, カレイで96.9%および102.4%であった。また, 定量限界はともに0.5mg%であった。
    3) HPLCで得られたNiAおよびNAAのピークの確認をGC-MFで行なった。
    4) 今回調査した検体数60の獣肉および魚介類からは, NiAはわずかに牛肉で1件, 鶏肉で2件, 魚介類で2件検出されたにすぎなかった。牛肉の場合, 44.4mg%と高い含量を示したが, これは肉の変色防止の目的で添加されたと思われる。NAAは, すべての試料から検出され, 獣肉では4mg%前後がもっとも多く, 魚介類では, 淡水魚に比べ海水魚の含量が高く, とくにアジでは12.3mg%であった。
  • 福本 順子, 中島 けい子
    1982 年 35 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 1982/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    本学集団給食実習食, 83献立の塩分 (NaCl) 量を測定し, 1食当たり1, 361mgより6, 626mgの値を得た。この実測値は, 栄養価表からの計算値と必ずしも一致せず, 低い値を示す場合が多かった。この傾向は, しょうゆやみそを用いて調理し, そのつけ汁を食さず残す和風献立に著しく, 両者が一致するのは, 主として塩のみを調味料とし, 調理過程で損失の少ない洋風献立に多かった。
  • 星 清子, 竹久 文之
    1982 年 35 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 1982/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Van SoestのDetergent法により食材料約90種のNDF, ADF含量を測定した。試料の乾燥処理には真空凍結乾燥法を用い, ウィレー型粉砕機0.8mm孔スクリーンを使用して粉砕した。また高デンプン含量試料はNDF試薬処理前に試料0.5gにつき結晶α-アミラーゼ10mg, pH 7, 35℃で1時間酵素処理を行なった。
    各食品のNDF, ADF定量を行なった結果, 乾燥重量あたりでは豆類, 野菜類, 果実類, イモ類, 穀類の順に, 湿重量あたりでは豆類, 野菜類, 穀類, イモ・果実類の順にNDF含量が高かった。
    各食品群でNDF, ADF値の間に直線関係が認められ, DF組成比 (NDF: ADF) が食品群中で類似していることが示された。また, CF値とNDF値の間にも豆類を除いて直線関係が認められ, この回帰直線式により成分表CF値から各食品のNDF値を推測することが可能であろう。
  • 石橋 源次, 長谷川 忠男
    1982 年 35 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 1982/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    source and lacto casein and wheat glutelin, soybean casein and egg albumin were used as protein sources. Protein levels in basal diets were change from 10 to 50%. The absorption rate of corn oil was higher in lacto casein and egg albumin fed groups than those of wheat glutelin and soybean casein groups.
    When the wheat glutelin was added 10%, 20% and 50% in diets, the respective absorption rate of corn oil was 94.6%, 95.5% and 96.2% and those of lard were 96.2%, 98.4% and 97.5% respectively.
    The absorption rate of corn oil in rats fed lacto casein was not changed by protein levels. The excretion of neutral sterols and bile acids in wheat glutelin and soybean casein fed groups were more than those of lacto casein and egg albumin groups, and the highest excretion was observed in the group fed 50% protein.
    The amount of excretion of neutral sterols and bile acids was not affected by the difference of carbohydrate sources. The free fatty acid composition of fecal lipids were C16: 0 (24-49%), C18: 0 (16-43%), C18: 1 (20-30%), in corn oil group and C16: 0 (28-39%), C18: 0 (41-52%), C18: 1 (12-19%) in lard group.
  • 田主 澄三
    1982 年 35 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 1982/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    前報1) 3) までに報告したスダチ果実を窒素ガス中で貯蔵したときにみられるAsA増加と果実の熟度の関係について検討した。
    同一樹より9月5日から11月7日まで3週間ごとに4回採取し, 窒素ガスとともに0.03mmの高密度ポリエチレン袋に入れて25℃で貯蔵した。
    完全緑色果と一部黄色の緑色果ではAsAは増加しなかった。 10月17日採取の一部緑色の黄色果では, 8週間の窒素ガス貯蔵によって, 貯蔵前のAsA濃度に対して果皮で2.3倍に, 果汁で1.5倍になった。 果実中のAsA量は1.8倍に増加した。 11月7日採取, 4週間貯蔵では, 果皮中濃度は1.6倍, 果汁中濃度は1.3倍, 果実中のAsA量は1.5倍に増加した。
    以上より, スダチ果実を窒素ガス中で貯蔵したときにAsAが増加するのは黄色果であることが知れた。
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