抄録
慢性アルコール摂取の糖代謝に及ぼす影響を肝機能成績と糖負荷時の血糖動態を対比させ, アルコール肝障害と耐糖能異常の関係を追究した。
1) 本症の約40%に耐糖能低下を認め, かつその変化は肝機能成績の悪化と平行する結果が得られた。
2) 肝機能障害を血清γ-GTP値を指標に比較すると, γ-GTP上昇に応じて耐糖能が低下する傾向が観察された。
3) アルコール摂取期間の長いほど肝機能低下例が増加し, 同時に耐糖能異常が増強した。
4) 加齢については若年群に比べ高齢群で肝機能および耐糖能低下が多く認められた。
5) 体重との関係ではやせ群においてγ-GTP値の上昇傾向がみられ, 耐糖能低下の増強がうかがわれた。
以上より本症における糖代謝異常にはアルコールによる肝障害が密接に関与することが推測され, その一部の機序について考察を加えた。