1982 年 35 巻 5 号 p. 339-344
ストレプトゾトシンをラットに投与すると同時に飼料を標準粉末飼料からAcarbose添加飼料 (70mg/kg) に切り換え, あるいはAcarbose添加飼料から標準粉末飼料に切り換えて, 実験的糖尿病の発症ならびに病態におよぼすAcarbose摂取の影響を観察した。
1) ストレプトゾトシン投与以前のAcarboseの摂取は糖尿病の発症を抑制した。
2) ストレプトゾトシン投与以後のAcarboseの摂取は糖尿病の病態を緩和させた。
3) 小腸粘膜二糖類水解酵素の活性は, 断頭時にAcarboseを摂取していた場合には低下していた。
それゆえ, Acarboseの摂取は, ストレプトゾトシン投与以前の場合には糖尿病の発症を抑制し, また, 投与以後の場合には, 小腸粘膜の二糖類水解酵素の活性を低下させて糖尿病の病態を緩和するものと考えられる。