日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
Euglena gracilis Z におけるプロビタミン A の高速液体クロマトグラフによる定量および培養条件による変動
細谷 圭助北岡 正三郎
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 37 巻 6 号 p. 519-524

詳細
抄録

Euglena gracilis Z のプロビタミンAをTLCおよびHPLCを用いて分画し, 吸収スペクトルおよびHPLCにより検索・同定した。 さらにHPLCによる定量法を検討しプロビタミンAを多く得るための培養条件についても検討した。
1) ユーグレナのプロビタミンAは, 細胞を直接メタノール性KOHで60℃, 20分間けん化し石油エーテル抽出したときに高い測定値が得られた。
2) 抽出されたカロチノイドをTLCとHPLCで分離し, 極大吸収波長およびHPLCの保持時間を測定し, 標準カロチノイドのそれらと比較したところプロビタミンAとしてはβ-カロチン, エチネノンおよびユーグレナノンが検出された。
3) 本実験で用いたβ-カロチンの定量法の回収率は平均97.2%であった。 KH-培地中で培養したGL, GD, BL およびBD細胞中のβ-カチン含有量は, それぞれ577.8, 47.3, 169.9 および58.4μg/109 cellであり, GL細胞が最も多かった。
4) KH-培地におけるGL細胞のβ-カロチン含有量は, 培養開始後7日目で最大となり, 照度は1, 000lx以上が適当であった。
5) ユーグレナが利用しうる糖類, アミノ酸類, アルコール類および脂肪酸類中, ブドウ糖とリンゴ酸を有機炭素源として使用したとき, β-カロチンの生成量が多くなりこれらを組成にもつKH-培地において多量のβ-カロチン生成を見ることができ, その含有量は577.8μg/109 cells (706.2μg/g [湿重量] ) であった。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top