日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
Euglenaタンパク質生産における廃糖蜜の利用
田渕 俊子上岡 善江重岡 成大西 俊夫村上 哲男飯塚 義富中野 長久北岡 正三郎
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 37 巻 6 号 p. 525-534

詳細
抄録

Euglena gracilis をSCPとして利用することを目的とし, 安価な廃糖蜜を用いた培養条件の検討と, 廃糖蜜培地培養で得られたEuglenaタンパク質の栄養価を測定した。
細胞収量およびタンパク質含量の多いEnglenaを得る培養条件の検討を行なった結果, 廃糖蜜量40g/l, リン酸アンモニウム5.5g/lを含む初発pH3.5~5.5の培地での培養が最も適したものであった。 上記培養条件で培養したEuglenaのアミノ酸組成は, 栄養豊富なグルコース-グルタミン酸培地で培養したE. gracilisのアミノ酸組成に類似し, そのアミノ酸価は89~91と高く, 藻類, 酵母のタンパク質と比較して優れた栄養価を有することを明らかにした。
また廃糖蜜培地培養E. gracilisの人工消化実験およびラット飼育試験を行なった結果, Euglenaは, トリプシンとペプシンによりそれぞれ84.6%, 82.8%消化され, 高い消化率を示した。 ラット飼育試験で, Euglenaの栄養価を求めたところ, PER=3.28, NPR=4.50, 真の消化率=93.2%, 生物価=80.2, NPU=74.7であった。これらの値は, PER, NPRにおいて同時に行なったカゼインの値と一致し, 真の消化率, 生物価, NPUにおいて, 細谷・北岡のグルコース-グルタミン酸培地培養のE. gracilisおよびカゼインの値に近似していた。
これらの結果より, 廃糖蜜培地培養Euglenaタンパク質はグルコース-グルタミン酸培地培養Euglenaタンパク質と同様のカゼインに匹敵する優れた栄養価をのしており, Euglenaタンパク質生産に廃糖蜜が炭素源としての効に利用できることがわかった。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top