日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
細管式等速電気泳動法による野菜中のシュウ酸の定量
菊永 茂司高橋 正侑
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 38 巻 2 号 p. 123-128

詳細
抄録

野菜中のCaの利用性を知るために, Caの生体への吸収利用に密接に関与するシュウ酸を細管式等速電気泳動法により定量を試みた。また, 市販野菜13種類中のシュウ酸とCa量を測定した。
1) IPには島津製のIP-1B, 検出器にPGD-1を使用した。泳動条件は, リーディング液にその各pHにおけるシュウ酸を含む8種有機酸のPU値から0.01N HCl-β-alanine (pH4.0), ターミナル液に0.01N n-capro-ic acid (pH 3.4), 泳動電流150μA (8分) →50μAとした。
2) 上記1) の泳動条件でのシュウ酸の定量性については, 20nmol/μl以下でもY=0.988X+0.249の直線性が得られた。 また, この泳動条件でシュウ酸, オキザロ酢酸, α-ケトグルタル酸, クエン酸, コハク酸の分離が可能であった。
3) 野菜のシュウ酸抽出液中のIPによるシュウ酸の分離ゾーンは, oxalate decarboxylaseを作用させると消失することから, シュウ酸の単一ゾーンであることを確認した。
4) 分析した13種類の野菜中のシュウ酸量は, 100gあたり, ホウレン草, 1,339mg, ショウガ239mg, パセリで177mgなどであった。 またCa含量は, 100gあたり, ヨモギ307mg, クレソン256mg, フキ (葉) 243mg, ホウレン草150mgなどであった。
5) ホウレン草の 「ゆで」 時間と沸騰水量は, ホウレン草重量の5~10倍量で2~3分間 「ゆで」 ることによって, 遊離型シュウ酸のほぼ全量を除去でき, また生体に最も吸収されやすいと考えられる遊離型Caの損失も少なかった。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top