日本栄養・食糧学会誌
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幼児における脂肪酸およびコレステロールの1日摂取量
吉田 綾子住本 建夫田中 凉一
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1985 年 38 巻 6 号 p. 421-425

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抄録

1歳, 2歳, 3歳の保育園児について陰膳方式により, 脂質, コレステロール, 脂肪酸の1日摂取量を測定した。
1) 脂肪酸の分析に, 架橋結合型の溶融シリカ製キャピラリーカラムを用いることにより, 再現性よく正確な値が得られた。
2) 総脂質摂取量は平均30g前後で, 成人の約55%であった。
3) コレステロール摂取量は平均値で1歳187mg, 2歳166mg, 3歳145mgと年齢が増すほど少なくなる傾向があったが, 個人差が大きかった。
4) 脂肪酸摂取量は, 飽和酸9~10g, 不飽和酸15~17gで, 適切な割合に比べ飽和酸の割合が高かった。
5) 摂取脂肪酸組成については, P/S比の低いものが多く, とくに1歳児では90%が0.6以下であった。成人と比較するとC20: 5, C22: 6の割合が著しく低かった。今回調査した幼児の摂取脂質の供給源は, おもに肉・卵類, 乳類であったが, 脂肪酸組成の改善のためには, ポリ不飽和酸を多く含む植物油や魚類のバランスの良い摂取が必要と考える。

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