日本栄養・食糧学会誌
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市販加工食品の食感の唾液分泌および咀嚼時間に及ぼす影響
木幡 浩子原田 努松久保 隆高江洲 義矩
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1987 年 40 巻 4 号 p. 299-305

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抄録
本研究は, 口腔内における食品の状態変化に影響を及ぼす因子と考えられる唾液分泌量および咀嚼時間と, 食感との関連を検討し, 口腔内での食品の状態変化を推定することを目的とした。27区分の食感に属する市販加工食品を用いて, 咀嚼から嚥下までの耳下腺唾液分泌量および咀嚼時間の測定を行い, 食感との関連性を検討した。
1) 27の被験食品の水分は3~92%, 咀嚼時間は0.74~53.3sec/g, 唾液分泌量は0.01~1.33ml/gであった。
2) 食感の“柔らかさ”および“なめらかさ”は咀嚼時間および唾液分泌量に関係し, 硬い食品ほど, また, ざらざらな食品ほど, 咀嚼時間が長く, 唾液分泌量が多い傾向であった。
3) 27の被験食品のうち水分の近似した9食品 (水分: 70~92%) においても, “柔らかさ”と咀嚼時間および唾液分泌量との間に, 2) と同様の関係がみられた。
4) “歯につきやすい”食品ほど, 唾液分泌速度が大きくなる傾向にあった。
以上, 食感と唾液分泌および咀嚼時間との間に相関が認められたことから, 口腔内における食品の状態変化を反映した物性測定には, 唾液の介在による影響を加味すべきとの考察を得た。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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