日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
生金時豆および大福豆 (Phaseolus vulgaris) の摂取毒性の機序
中田 忍木村 利三
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 40 巻 5 号 p. 399-403

詳細
抄録

本研究は生金時豆および生大福豆摂取による毒性発現の機序を明らかにし, 他の生豆摂取による毒性発現の機序と比較し, それらの共通性を検討することを目的とした。(1) 生金時豆あるいは生大福豆飼料摂取ラットは顕著な成長抑制と小腸上皮細胞表層局在性の加水分解酵素 (SA, ALPおよびLAP) 活性の著しい低下を示した。
これらの生豆飼料摂取による悪影響はそれらの飼料にメチオニンを添加してもまったく改善されなかったが, 加熱処理金時豆あるいは大福豆飼料摂取では上記の悪影響はまったく観察されなかった。(2) 生金時豆および大福豆よりレクチン画分を調製し, 20%カゼイン高ショ糖飼料に添加し, その摂取による上記酵素活性の経時変化を調べた結果, いずれのレクチン画分飼料摂取ともこれらの酵素活性の適応的上昇を完全に抑制した。以上の実験結果より, 生金時豆および生大福豆摂取による毒性の機序は前報で示したCon Aおよび四角豆レクチン摂取毒性の機序と同様に, これらの豆レクチンが小腸上皮細胞表層に結合し, それが小腸刷子縁の機能形成阻害に導くものであろうことを示す。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top