日本栄養・食糧学会誌
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ニワトリ胸筋中のシステインプロテイナーゼインヒビターの精製と性質
松本 照代北村 陽子松石 昌典沖谷 明紘
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1987 年 40 巻 5 号 p. 419-425

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抄録
ニワトリ胸筋中に, カテプシンBを阻害する分子量の異なる4種類のタンパク性のシステインプロテイナーゼインヒビターの存在することを明らかにした。すべてのインヒビターは胸筋をpH 7.2の中性緩衝液で抽出後, DEAE-セルロースカラムに吸着し, NaClの0.07~0.15M濃度で溶出した。溶出した活性区分の33~55%アセトン沈澱画分をセファデックスG-75にかけゲル濾過を行った結果, 分子量58,000のインヒビターが得られた。55~77%アセトン沈澱画分をセファデックスG-75でゲル濾過した結果, 分子量10,000 (I-S), 22,000および32,000のインヒビターが得られた。I-SはさらにセファデックスG-50のゲル濾過を経て, その比活性が粗抽出物のそれの400倍にまで精製された。分子量22,000と32,000のインヒビターは0.1%になるようにメルカプトエタノールを添加し, セファデックスG-75にかけゲル濾過を行ったところ低分子化し, 分子量11, 500のモノマーCPI (I-M) に転換することがわかった。I-MはさらにセファデックスG-50のゲル濾過を経てその比活性が粗抽出物のそれの600倍にまで精製された。I-SとI-MはともにpH 4から7で安定であり, またpH7.2, 100℃で10分間の加熱でもそれぞれ初期値の70%と64%の活性を保持していた。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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