日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
フェニルケトン尿症用食事素材としての低フェニルアラニンペプチドの栄養特性
荒井 綜一前田 明子渡辺 道子河村 晴次光岡 知足
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 41 巻 2 号 p. 147-151

詳細
抄録
フェニルケトン尿症用食事素材として作成した低フェニルアラニンペプチド (LPP) およびそれと同等のアミノ酸組成をもつ遊離アミノ酸混合物 (AAM) につき, 正常ラットを用いて栄養特性を比較して次の結果を得た。
1) ミールフィーディング中の摂食量はLPP飼料群のほうがAAM飼料群よりも有意に多かったにもかかわらず, ミールフィーディング後の門脈血中のアミノ酸レベルの経時変化は両群間で有意差はなく, LPPの投与は血中フェニルアラニンレベルの低下に有効であることがわかった。
2) LPPとAAMを長期摂取したラットの体重変化, 血液性状および体重あたりの肝臓重量, 腎臓重量, 脾臓重量には飼料問で有意差がなかったが, ラットの毛の状態はAAMで異常であったのに対して, LPPでは正常であった。
3) 小腸および盲腸の菌叢に関してはLPP飼料群とAAM飼料群の間で有意差はなく, LPPの投与が特定菌とくに有害菌の異常繁殖をもたらすことはなかった。
著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top