4週齢SD系雄ラットを用い, 5%グルテンに魚油 (イカ油, イワシ油) を10%レベルで添加, 調製した飼料を4週間投与した際の臓器重量, 血液性状, 肝脂質成分および肝の組織化学的所見について検討した。対照群には, 魚油のかわりにコーンオイルを10%レベルで添加した。
1) 体重増加量は, 4週を通じて減少傾向がみられ, その順序は対照群>イカ油群>イワシ油群であった。
2) 臓器重量は, イカ油群において肝臓と脾臓が対照群に比べて大きく, イワシ油群では臓器全般に小さい傾向があり, 心臓, 腎臓 (右), 脾臓に有意差があった。
3) 血液成分では, イワシ油群の血清タンパク量Alb量およびMAO活性が対照群に比べて高値を示し, 血清Feは有意に低値を示した。
4) 肝臓中の脂質は, イワシ油群の総脂質量とTG量が対照群に比べて有意に低値を示した。肝TBARS値は, イカ油群において対照群, イワシ油群に比べて有意に低値を示した。肝Cholは, 今回の10%脂質レベルにおいては対照群と各魚油群との間で差は認められなかったが, 5%脂質レベルの飼料投与の場合に比べて肝Chol量が (2倍) 増加していた。
5) 肝臓の組織化学的所見では, 対照群, イカ油群においては低タンパク性の脂肪肝の所見が著しく, イワシ油群では前二者ほど強くなく, 肝脂質成分の生化学的検索の成績とほぼ平行した。
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