日本栄養・食糧学会誌
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高コレステロール食ラットの血清, 肝臓脂質濃度に及ぼす卵黄リン脂質と水素添加卵黄リン脂質の効果
小畠 義樹黒田 圭一西出 英一山口 迪夫
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1989 年 42 巻 5 号 p. 369-375

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抄録
2種の脂肪酸組成の異なった卵黄リン脂質がラット血清, 肝臓中のコレステロール等の脂質濃度に与える影響の相違を検討するために, 通常精製卵黄リン脂質または, 水素添加精製卵黄リン脂質を添加した高コレステロール飼料を2週間ラットに投与し, 次の結果を得た。
1) 血清, 肝臓総コレステロールはリン脂質投与で対照のオリーブ油群に比べ明らかに上昇抑制が見られたが, 水素添加リン脂質投与でも似た効果が得られた。
2) 血清HDL-コレステロール濃度は卵黄リン脂質投与では対照に比べ高値を示したが, 水素添加リン脂質では対照と差がなかった。血清トリグリセリド, 血清および肝臓リン脂質濃度はどちらの卵黄リン脂質投与でも対照との間に差はなかった。
3) 実験期間中の糞中のみかけのコレステロール排泄率は対照に比べ, 両卵黄リン脂質投与で上昇したが, コレステロールの腸管からの吸収が阻害されたものと考えられる。また, 水素添加リン脂質投与群でホスファチジルコリン等のリン脂質の糞中排泄が著しかった。
これらの事実から, 2種の卵黄リン脂質は血清, 肝臓のコレステロールの濃度を上昇抑制効果が著しかったが, 水素添加してもその効果の変化は少ないと推定された。また両卵黄リン脂質は糞中コレステロール排泄を増加させたが, 水素添加リン脂質それ自身の消化吸収は非常に低いことが推定された。
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