日本栄養・食糧学会誌
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食餌性高トリグリセリド血症ラットの脂質代謝に及ぼすエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の影響
谷口 裕信滝田 聖親中村 カホル早川 享志鈴木 薫印南 敏
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1991 年 44 巻 2 号 p. 105-111

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抄録

食餌性高TG血症ラットに精製EPAおよびDHAをそれぞれ3%投与した場合の脂質代謝に及ぼす影響を検討する目的で本実験を行い次のような結果を得た。
1) EPA群とDHA群では, ともに血清のTG, TC, PLならびに肝臓のTG, TC, PLの有意な低下を認めた。したがって高TG血症の場合, TGとTCに対するEPAとDHAの低下効果には差が認められなかった。
2) 高TG血症ラット血清の主要脂肪酸はC16: 0とC18: 1であったが, PUFAは対照群でC18: 2とC20: 4が6%前後認められたのに対し, EPA群とDHA群ではそれぞれC20: 5とC22: 6の含有割合が多く認められた。
3) 血清リポタンパク質の脂肪酸組成は, 各画分いずれも飼料脂質の影響をうけ, 対照群ではC20: 4の割合が多く, EPA群ではC20: 5とC22: 5の割合が, DHA群ではC22: 6の割合が多かった。
4) 肝臓各脂質画分のうちTGとPLの脂肪酸組成は飼料試験油の影響をうけ, 対照群に比べてEPA群でC20: 5とC22: 5が, DHA群ではC22: 6の割合が多かった。しかし, PL画分では対照群においてC18: 2とC20: 4の割合が他の2群に比べて多かった。CE画分ではEPA群でC20: 5の割合が多かったが, DHA群でC22: 6の割合が多くなった。
5) 以上のことより, 食餌性高TG血症ラットにみられたEPA, DHAによる血清脂質改善効果は, 血清リポタンパク質画分および肝臓脂質画分にn-3系PUFAの多いことが関連するものと推測した。

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