日本栄養・食糧学会誌
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マンニノトリオースのヒト腸内フローラに及ぼす影響
和田 光一水谷 潤鈴木 宏美早川 邦彦
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1991 年 44 巻 3 号 p. 171-176

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抄録

大豆オリゴ糖を構成する難消化性糖類 (ガラクトオリゴ糖類) のうち, 最近新たに同定されたMntについて, in vitroにおけるヒト腸内菌111株による資化性試験を行い, またin vivo試験として健常成人7名のボランティアにMnt粉末3g/日を7日間連続摂取させ, 腸内フローラと糞便アンモニアおよび糞便pHを調べ, 次の結果を得た。
1) in vitroにおけるヒト腸内菌による資化性を調べたところ, Staなど他の大豆オリゴ糖を構成するガラクトオリゴ塘類とほとんど同一の資化性を示し, Bifido-bacterium属 (B. bifidumを除く) に選択的に利用された。
2) Mntの摂取によりBifidobacteriumの菌数に有意 (p<0.01) な増加が認められ, Clostridiumが有意 (摂取前とp<0.05) な減少が認められた。
3) Mntの摂取により糞便アンモニアに低下傾向が認められた。
4) 糞便pHはMnt摂取で変化しなかった。以上のことから, Mntは他の大豆オリゴ糖を構成する難消化性オリゴ糖類 (ガラクトオリゴ糖類) と同様, ビフィズス菌を増加させる一方, 腸内有害菌を減少させることが示唆された。

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