日本栄養・食糧学会誌
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ラットの排便に及ぼす食餌のエネルギー・食物繊維比の影響
中永 征太郎彌益 あや佐藤 孜郎高橋 正侑坂本 廣司
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1991 年 44 巻 4 号 p. 279-285

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抄録
供試飼料はDFを含まない基礎食に, ヘミセルロース, キトサン, アルギン酸, イソマルトオリゴ糖を含むFMを添加し, 成熟ラットに与えた。実験1はFMを1, 3, 5, 10%基礎食に添加し, 等量の基礎食をラットに4週間与えた。実験2は, 脂肪 (5, 15, 30%) 含量と同時にFM (1, 5, 10, 15%) 含量の異なる飼料を配合しラットに9日間与えた。
全糞採取法により消化試験を行い, 食餌と糞便の熱量を測定し, 各食餌の可消化エネルギー (E) をもとめた。一方, FM中のDFを分析した。また, 排便と糞便の形状の実態を捉えるため, 胃腸通過時間と糞便の100粒重量を調査した。
その結果, FM中のDF量は67%であった。FMの添加量の増加は糞便へのエネルギー損失量を増し, 実験1における食餌中のE含量は460kcal/100gから419kcal/100g, 実験2のE含量は544kcal/100gから379kcal/100gとなった。
胃腸通過時間はFMを5%から10%添加した食餌において有意に短縮し, 糞便重量はいずれの脂肪添加食群においても5%以上のFMを添加することにより有意に増加した。
以上の結果から, DFによるエネルギー利用率の低下をできる限り抑制し, しかも排便の亢進が期待されるE/DF比の範囲は76kcal/g DFから135kcal/g DFであった。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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