日本栄養・食糧学会誌
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二糖類水解酵素阻害剤AO-128のラットにおける食後高血糖抑制作用
小高 裕之三木 七美池田 衡松尾 隆夫
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1992 年 45 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

微生物の産生物バリオールアミンを化学修飾して得られたAO-128の糖質消化酵素活性に対する作用およびラットにおける食後高血糖抑制作用を検討した。
部分精製したブタ小腸スクラーゼとマルターゼに対してAO-128は既知のα-グルコシダーゼ阻害剤であるacarboseより20~30倍強い阻害作用を示した。またラット小腸から精製したスクラーゼーイソマルターゼ複合体の酵素活性に対してはacarboseよりも190-3, 900倍強い阻害作用を示し, その阻害様式は拮抗的であった。しかし, ブタ膵由来のα-アミラーゼに対するAO-128の阻害作用はacarboseの1/3, 400ときわめて弱かった。
AO-128はスクロース, マルトースおよびデンプン摂取後の高血糖を低用量で強く抑制したが, グルコース, フルクトースおよびラクトース摂取後の高血糖に対しては無効であった。
AO-128投与ラットの小腸二糖類水解酵素量は増加したが, 酵素活性は著しく低下し, 脂肪組織重量も減少した。

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