日本栄養・食糧学会誌
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45 巻, 1 号
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  • 内野 澄子
    1992 年 45 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 安武 律, 城田 知子, 西野 幸典, 竹内 享, 糸川 嘉則
    1992 年 45 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    地域住民のビタミンB1摂取量の現状を把握するため九州地域に居住する (沖縄を除く) 中年夫婦の農業従事者およびサラリーマンを対象にB1摂取量を検討し, さらに食生活指導上の目安とするため, 摂取エネルギーに対するB1所要量 (0.4mg/1,000kcal) を用いて, B1摂取量 (調理による損耗率50%として) と比較し, B1過不足の評価を試みた。
    1) 農業従事者30組の夫婦の血中B1濃度は, 40ng/ml以下のものが夫60.0%, 妻73.3%であった。2) 同一対象のB1摂取量は, 夫0.78±0.38mg/日, 妻0.65±0.32mg/日で, 摂取エネルギーに対するB1所要量は, 夫0.97±0.22mg, 妻0.80±0.17mgであり, それぞれ80.4%, 81.3%の充足率であった。3) 農業従事者196組, サラリーマン206組の夫婦のB1摂取量は, 摂取エネルギーに対するB1所要量と比較すると, すべてのグループが, 不足と評価された。不足の者の割合は, 農業従事者夫93.4%, 妻92.3%, サラリーマン夫76.2%, 妻72.8%であった。4) B1摂取量を, 低摂取群, 平均摂取群, 高摂取群に分けて評価すると, 高摂取群のみがB1充足と評価された。5) B1高摂取群は, 農業従事者では, 緑黄色野菜, 米, 果実が多く摂取され, B1の給源として寄与しており, サラリーマンでは, 肉, 緑黄色野菜が多く, B1給源として寄与していた。6) 米が増加すればするほど, B1摂取量は, 不足の程度が大きくなることが確認された。7) 食品群別のB1摂取構成比および100kcal当りのB1摂取量から検討してみると, 肉, 魚介, 野菜, 大豆製品, 果実, 芋等がB1給源として重要であり, その量を調整して摂取するよう指導することによりB1摂取量を充足させることが可能であるということが確認された。
    本対象の食生活調査は, 九州実践栄養。
  • 野村 誠, 中島 泰子, 阿部 裕
    1992 年 45 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    難消化性デキストリンを実験動物ならびに高脂血症を伴った非インスリン依存型糖尿病患者にて長期間にわたり投与し, 血中脂質ならびに糖代謝に及ぼす影響について検討した。
    SD系ラットにおいては9週間にわたり5%の濃度で飼料中に混合し, 一方, 高脂血症症例においては各食事ごとに20gを内服し (1日量60g), それぞれ9週ならびに12週にわたり血中脂質ならびに空腹時血糖値の変動を追跡した。
    その結果, SD系ラットにおいては食物繊維投与後, 空腹時血糖値, 血中コレステロールならびに中性脂肪レベルの有意な低下を認めた。同時に非インスリン依存型糖尿病症例においても血中コレステロール値と空腹時血糖値の著明な低下を認めた。
  • 小高 裕之, 三木 七美, 池田 衡, 松尾 隆夫
    1992 年 45 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    微生物の産生物バリオールアミンを化学修飾して得られたAO-128の糖質消化酵素活性に対する作用およびラットにおける食後高血糖抑制作用を検討した。
    部分精製したブタ小腸スクラーゼとマルターゼに対してAO-128は既知のα-グルコシダーゼ阻害剤であるacarboseより20~30倍強い阻害作用を示した。またラット小腸から精製したスクラーゼーイソマルターゼ複合体の酵素活性に対してはacarboseよりも190-3, 900倍強い阻害作用を示し, その阻害様式は拮抗的であった。しかし, ブタ膵由来のα-アミラーゼに対するAO-128の阻害作用はacarboseの1/3, 400ときわめて弱かった。
    AO-128はスクロース, マルトースおよびデンプン摂取後の高血糖を低用量で強く抑制したが, グルコース, フルクトースおよびラクトース摂取後の高血糖に対しては無効であった。
    AO-128投与ラットの小腸二糖類水解酵素量は増加したが, 酵素活性は著しく低下し, 脂肪組織重量も減少した。
  • 小高 裕之, 松尾 隆夫
    1992 年 45 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    重症度の異なる2種類の糖尿病ラットにAO-128を4週間混餌投与し, 糖尿病の改善効果を観察した。糖尿病ラットはストレプトゾトシンを生後1.5日齢 (STZ-1.5) あるいは5日齢にそれぞれ120mg/kg皮下注射して作成した。STZ-1.5ラットでは膵インスリン含量が46%に低下し, 血漿グルコース値の軽度上昇を認めたが, その他の臨床値は正常域であった。しかし, 耐糖能とインスリン分泌反応に著しい低下が認められた。AO-128を投与しても膵インスリン含量は変わらなかったが, その他の異常はほぼ正常化された。STZ-5ラットでは高血糖, 低インスリン血症, 多食, 多飲, 多尿, 1日に6gを超える尿糖排泄, 耐糖能とインスリン分泌反応の低下が認められた。AO-128投与によって1日の尿糖排泄量は0.5gに低下し, その他の糖尿病性変化にも改善が認められた。しかし, 耐糖能とインスリン分泌反応の改善はわずかであった。
    以上, AO-128は軽度のインスリン不足によっておこる糖尿病性変化を正常化し, 血漿インスリン値の低下を招くより重篤なインスリン不足状態に対しても部分的ではあるが有効であることがわかった。
  • 抗S-100bタンパク質血清を用いた免疫組織化学法と Champy-Maillet (ZIO) 法による構造の研究
    鈴木 道子
    1992 年 45 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    ラット小腸の内在神経叢の構造を, 免疫組織化学法とChampy-Maillet (ZIO) 法により検討した。
    1) ラットの小腸壁は, 粘膜, 粘膜下組織, 筋層, 漿膜に固有の神経叢をもつ。
    2) ラット小腸の内在神経叢は, エンテログリア細胞とエンテロニューロンからなる。内在神経叢は, 神経節, 神経束, 自律神経基礎網を構成要素とする網目である。
    3) ラット小腸の筋層間神経叢は, 細長い大きい神経節をもつ。1次神経束から分枝する2次神経束は少ない。自律神経基礎網は, 疎な網目を呈する。
    第45回日本栄養・食糧学会総会 (1991年5月10~12日, 京都) において, 本研究の一部を発表した。
  • 樫村 淳, 木村 美恵子, 近藤 久雄, 横井 克彦, 中島 良和, 西尾 弘二, 糸川 嘉則
    1992 年 45 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    パラチノースとパラチノース縮重合物 (PC) 摂取によるラットの組織中ミネラル (Ca, Mg, P, Fe, Zn, Cu, Mn) 含量に与える影響を検討した。
    1週間予備飼育した4週齢Wistarラット36匹を6匹ずつ, コントロール (30%ショ糖), 7.5%, 15%パラチノース, 7.5%, 15% PCの5群分け, 13週間飼育した。飼育終了後, 麻酔下で腹部大動脈から採血し, 脳, 心臓, 肝臓, 腎臓, 副腎, 脾臓, 精巣, 大腿筋, 脛骨を採取した。血液は全血と血漿に分けた。各組織は硝酸により湿式灰化し, ICPプラズマ発光分析法により, Ca, Mg, P, Fe, Zn, Cu, Mn含量を測定した。
    コントロール群と投与群の間に外見上の変化は認められず, また体重増加量, 各臓器重量, ヘマトクリット値にも変化は認められなかった。ミネラルについてはCa, Mg, P, Feについては血漿中のP含量が投与群で高く, 7.5% PC投与群とコントロール群との間に有意差が認められた以外は, 測定したすべての臓器で著しい変化は認められなかった。一方, Zn, Cu, Mnについてはコントロール群と投与群, とくにPC投与群に有意な変化が認められた。すなわち脳中Zn, Mn含量の上昇, 腎臓中Cu含量の上昇, 肝臓中Cu含量の上昇およびMn含量の低下, 脛骨中含量のMn上昇が認められた。
  • 萩原 清和, 岡 純, 小篠 栄, 市川 富夫
    1992 年 45 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    VE欠乏ラットのGSH低下による腎臓障害におけるGSH monoisopropyl esterの投与効果について, リポフスチン生成および腎臓機能や組織障害を指標に検討を行った。
    1) GSH投与は腎臓内GSH量を増加させることはできなかったが, リポフスチン量の急激な上昇を抑制した。
    2) GSH投与は血清クレアチニン量の増加, 腎臓内酵素活性の低下を抑制した。
    3) GSH投与は近位尿細管上皮細胞壊死を完全には防御することはできなかったが, S3部位の上皮細胞壊死のみにとどめることができた。
    4) GSHは過酸化脂質からのリポフスチン生成を抑制し, 腎機能低下や腎障害の防御に関与する可能性が強く示唆された。
  • 今中 雅章, 門田 実, 小川 登, 熊城 一男, 森 忠繁
    1992 年 45 巻 1 号 p. 61-70
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    輸入品を含む15種類の茶葉および2種類の健康食品について, 含イオウ多環芳香族炭化水素 (PASH) 類の同定を検討するとともに, 6種類のPASHと7種類のPAHを定量した。
    1) GC/MSで4種類のPASH (分子量234, 258) を同定し, さらに2種類のPASH (分子量234, 258) の存在を推定した。
    2) マスクロマトグラフ法により, benzonaphtho-thiopheneグループ (分子量234) には, メチル誘導体 (分子量248) およびジメチル誘導体 (分子量262) が付随して含まれていることが明らかとなった。
    3) 外国産茶葉中のPASHとPAHは, 日本産と比較してかなり高いレベルにあった。
    4) 11種類の茶葉および健康食品中の総PASH/総PAHの比率は, ほぼ0.1~0.3の範囲であった。本論文の一部は第25回全国衛生化学技術協議会 (札幌), 第56回日本食品衛生学会 (山口) で発表した。
  • 江頭 祐嘉合, 久保田 久, 奥田 恭久, 竹内 政保, 太田 冨貴雄, 綾野 雄幸
    1992 年 45 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) ウィスター系雄ラット (体重45~60g) を用い, 基本飼料のショ糖の一部をRCBはDF 5%, CBH, WBHは各1%レベルで置換し28日間飼育した。各DF添加群の成長はいずれも良好であった。しかしCBH, WBHの両群では盲腸の肥大がそれぞれ著しかった。見かけの消化吸収率は, デンプンでは各群間に差はなく, タンパク質ではCBH群, WBH群, RCB群の順に有意に低い値を示し, 脂質ではRCB, CBHの両群が有意に低い値を示した。
    2) 成熟ラット (体重270g) を用い, 食物残渣の消化管通過時間を測定した。糞が出始めるまでの時間は, 各群間に, 有意差はなかったが, 出終わるまでの時間は, RCB群32.5時間, WBH群38.9時間, CBH群43.1時間で, DF-free群50.8時間に比し, 有意に短縮さた。糞の水分含量はRCB群はDF-free, CBH, WBHの3群に比し有意に高く, 軟らかく形状も大きかった。CBH, WBHの両群は, DF-free群と変わらなかった。
  • 中村 美知子, 緒方 順子, 吉植 庄平
    1992 年 45 巻 1 号 p. 78-81
    発行日: 1992/02/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    MM, MLおよびCRF患者の血漿中NEAAは健常者の値に比べ高値である。しかし, MMおよびML患者のEAA値は健常者と類似し, CRF患者のEAAは著しく低値であるために, 3疾患患者のE/N比は健常者の値と比べ有意に低値である。健常者のFischcr比は高値, ついでCRF患者, ML患者, MM患者の順であり, MMおよびML患者のFischer比は低値で健常者の値と有意差を示している。栄養状態の改善策として, CRF患者は必須アミノ酸摂取量を増加してE/N比を, MMおよびML患者は分枝鎖アミノ酸の摂取量を増加してFischer比の改善をはかる必要が示唆された。
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