日本栄養・食糧学会誌
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霊芝リキュールに含まれる中性グルカンの構造
稲葉 和功渡辺 隆司高野 真奈美光永 俊郎越島 哲夫
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1992 年 45 巻 2 号 p. 163-167

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抄録

日本酒の原酒を用いて粉末霊芝の成分を18℃, 10日間, ついで70℃まで60分間で上昇させることにより霊芝リキュールを製造した。抽出条件は, リキュールの色調, 香味, 酸度, pHなど考え合わせると1lの原酒に対して霊芝15gを加えたときの条件が最良であった。Table 3. Methyl esters from hydrolyzates of methylated ganoderan-N. 抽出された多糖類を分析するため, リキュールを透析してチューブ内溶液を7.5倍量のエタノールで沈殿させた。得られた多糖類は, DEAE Sephadex A-25を用いてカラムクロマトグラフィーを行い, 中性多糖 (Gano-deran-N) と酸性多糖 (Ganoderan-A) に分画した。Ganoderan-NはDMSO-d6を用いて13C-NMRによって構造を解析するとβ-1, 6分岐した側鎖と1, 3結合したβ-グルコシル残基が認められ, また, メチル化分析では, 2, 3, 4, 6-テトラ, 2, 4, 6-トリ, 2, 4ジ-O-メチルグルコースが1: 2: 1の割合で検出された。このことからGanoderan-NはC-6位にモノグルコシル分岐鎖をもつβ-1, 3-グルカンであると結論した。

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