日本栄養・食糧学会誌
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植物油脂中のトコフェロールの熱分解および油脂の熱酸化に対する抗酸化剤の効果
梶本 五郎嘉ノ海 有紀川上 英之濱谷 美穂前田 裕一
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1992 年 45 巻 3 号 p. 291-295

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抄録
油脂中のトコフェロール (Toc) の熱分解および油脂の熱酸化に及ぼす各種の抗酸化剤の作用, ならびにアスコルビルパルミテート (As. P) との併用による効果について検討した。
1) 使用した抗酸化剤の内では, TBHQが最も油脂中のTocの熱分解を防止し, ついで, セサモール, オイゲノールの順で, ケルセチンおよびBHAは効果少なく, フラボンやβ-カロチンは防止効果が認められなかった。
2) TBHQは添加量を増すにしたがい, Tocの熱分解防止効果は高められた。
3) Tocの熱分解防止効果の高いTBHQやセサモールは, 油脂の熱酸化も抑制したが, β-カロチンおよびフラボン添加では油脂の熱酸化を促進した。
4) BHA, セサモールおよびケルセチンのそれぞれの単独添加の場合ょりもAs. Pの併用によりTocの熱分解防止効果は高められた。
5) Tocの熱分解防止効果のないフラボンでは, As. Pとの併用によりTocの熱分解防止効果が現れた。一方, β-カロチンにはAs. Pの併用による効果は認められなかった。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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